シュガー＆ソルト【佐久間】

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「資料室行ってきまーす」
「行ってらっしゃーい」




次の案件に使うために持ってきていた大量の資料を持って、資料室に向かう。
なかなかな重さだけれども、両腕に抱えながら持ち運ぶ。
資料室まではそれなりの距離があるし、重さで腕も痺れてくる。




「…おも、」
「貸して？資料室でしょ？」
「え…あ、目黒くん、」
「なんで瀧本がそんな重いの持ってんの」
「素乃商事の案件で使った資料だったの。サンプル作ったから資料戻しに来たんだけど、」
「よくここまでいっぺんに持ってきたね(笑)」




向かい側から歩いてきたらしい目黒くん。
低身長に加えて資料で若干視界が遮られていたからすぐに気付けなかったけど、私の持っていた資料を全部持ってくれた。

最近、目黒くんもとある企業の案件で忙しいみたいで、あまり話せていなかったけど、目黒くんのさり気ないこういう優しいところがすごく好き。
誰かに対して、じゃなくて、男女関係なく全員に同じ対応をするところも好き。




「俺持ってくから戻ってていいよ？」
「他の資料も持ってきたかったから、私も行っていい？」
「あ、そゆこと。じゃあ一緒に行こ」
「うん、」




隣を歩くだけで、ドキドキしてしまう。
端正な顔立ちに、立ち振る舞いもかっこよくて、営業部の中でもトップクラスに人気が高い。
真面目で仕事熱心だし、ちょっと天然も入っててみんなに可愛がられるような、そんな人。
私には無いようなものを沢山持ってて尊敬してる同期だし、それと同時に好意も寄せている。
こんな出来た人を好きなんて、烏滸がましいなとも思ったり。




「これ、ここ？」
「うん、そこ。重かったでしょ、ありがとう」
「全然。てか女子が持つにはキツイでしょ」
「持ってくる時は少しずつだったからね…」




こうやって気遣ってくれるところも素敵だなぁ。
しかも飾らない性格だから、そりゃモテるに決まってる。
持ち帰りたい資料を探していればこれまた上の方にあって。
どうしてこんなにも低身長に優しくない世界なんだ。
ぐっと手を伸ばすとギリギリ届きそうで、少しはみ出している資料に触れる。




「…よっ、と……ぅわ、っ！」
「瀧本…！！」

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