【佐久間先輩が砂糖対応になるまで】 ページ1
あの日になるまで。
私はこんなにも優しい顔ができる先輩だなんて、知らなかった。
「瀧本、来週の取引先に出す資料出来てる？」
「あ、はい！確認お願いしてもいいでしょうか？」
「ん、貸して」
ホッチキスで留めた厚めの資料を1枚1枚確認してくれているのは、佐久間先輩。
入りたての頃から私の教育係として付いてくれている、私の尊敬する先輩。
周りをよく見て行動できるところ。上司を相手に駄目だと思ったところはちゃんと指摘出来るところ。取引先の相手を絶対不快にさせない、気遣いが出来るところ。
仕事の先輩としても、人としても、尊敬出来るところを上げていけばまだまだ出る。
入社10ヶ月目。
先輩と一緒に任された少し大きめの案件。
来週の打ち合わせは初日でもあって、提出する資料は念入りに作ったつもり、だった。
「…瀧本」
「はい」
「ここ。…数値が違う」
「…え、…すみません、今やり直します」
「ん」
バサッと資料を返される。
先輩の難点をひとつ上げるとしたら私に対しての当たりが強く厳しいところ。
同期である目黒くんには「お前かわいいやつだな！」なんて笑顔を向けるのに、対私になるとそんな笑顔はすっと消える。
いや、女と男とは対応が違うだろと言われればそれまでなのだが。
…でも、もう少しだけ優しくてもいいのに。
なんて。
私を一人前になるまで育て上げようとしてくれているのだ、と毎日言い聞かせて過ごしてきた。
だからこそ、この案件が成約した時は泣いてしまうほど嬉しかったのだ。
普段褒めてくれないあの先輩が「頑張ったじゃん」なんて背中を叩いてくれたくらいなんだから。
案件自体は年度末までかかっていたし、先輩が私の教育係として一緒に付いてくれるのもタイムリミットが迫っていた。
「…先輩」
「なに？」
「私、自分の指導をしてくださるのが先輩でよかったです」
「…なにそれ」
「成長、出来ましたかね」
「…当たり前だろ。俺が育てたんだから」
「ふふ、そうですね！…って、わぁ！グシャグシャにしないでください…！」
「ふは、うっせぇ」
多分、先輩の笑顔を至近距離で見たのはこれが初めてだったと思う。
大型犬をわしゃわしゃするように、私の頭をぐっしゃぐしゃにしやがった先輩が、先輩として大好きだった。
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澄架(プロフ) - きょうこさん» きょうこさん、コメントありがとうございます☺️嬉しいです〜！これからも読んでくださると嬉しいです！ありがとうございます( ˘ ˘ ) (2023年1月20日 12時) (
レス) id: 6cf4b7c805 (このIDを非表示/違反報告)
きょうこ(プロフ) - はじめまして(•‿•)お話し読ませて頂いて凄くハマりました!佐久間さん、頑張って欲しいです(｡•̀ᴗ-)✧ (2023年1月19日 11時) (レス) @page27 id: 9bcf9b1806 (このIDを非表示/違反報告)
澄架(プロフ) - 咲里以さん» お返事遅くなってしまってすみません…！切ないんです…佐久間さん頑張ってくれ…(私が言うな) (2022年8月13日 20時) (レス) id: 6cf4b7c805 (このIDを非表示/違反報告)
咲里以 - ええ…なんか……ええ……(´°̥̥ω°̥̥｀)切ねぇ……(´°̥̥ω°̥̥｀)ちょっと佐久間さんホント頑張れ……｡ﾟ(ﾟ＾ω＾ﾟ)ﾟ｡ (2022年8月3日 6時) (レス) @page14 id: d6172fab00 (このIDを非表示/違反報告)
澄架(プロフ) - 咲里以さん» コメントありがとうございます🙇♀️嬉しいです〜！やっと新作出せたので、安心しました🫶頑張って欲しい佐久間さん…頑張れ…！ (2022年7月29日 22時) (レス) id: 6cf4b7c805 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：澄架
| 作成日時：2022年7月24日 16時
