偶然は必然だと教えてください。3《青》

引っ越し ページ32

それから数週間後、

私たちは引っ越しをした。


部屋中に積み上がった段ボール。

真新しい匂いがするピカピカな部屋。


何もかもが新鮮でワクワクする。


家具・家電の運び入れも無事終了してひと段落した私たちは、常温の缶コーヒーを飲みながらくつろいでいる。


身の丈に合っているとは思えない程、広い部屋。

リビングだけで何畳あるんだろうか…

それに、マンションのエントランスにはフロントがあったしセキュリティも万全だ。


『…私も、ちゃんと家賃払いますね。』


言いながら気がついたけど、この部屋の家賃を教えてもらっていない。


渡「え、俺払うよ。」

　「いえ…！そういうわけには……」

渡「そこはさ、俺に頑張らせて？もうすぐデビューから一年経つし？これくらい余裕。」


　『だいすき、です…』


優しすぎるし、本当にカッコいい。

多分、翔太さんは私が家賃を払うと言い出すことを知ってて教えてくれなかったんだ。


翔太さんが単純で素直な分、
伝えてくれる言葉も真っ直ぐで正直だ。


渡「ふは、俺も。」


さっき取り付けたばかりのレースカーテンが、

この時期にしては温かい風に吹かれて、ふわふわと揺れている。

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