偶然は必然だと教えてください。3《青》

急足 ページ4

今日は残業せずにすんだ。

特に何を考えるわけでもなく、ぼーっとマンションへ向かって歩く。

仕事は早く終わったけど夜ご飯を作る元気は残っていないし、コンビニでも寄って帰ろうかな。


スマートフォンが鳴る。

画面には、

《まだ仕事？Aちゃんの部屋にいていい？》

翔太さんからだった。


そうだ。私、合鍵渡したんだもんね。

家に帰ったら翔太さんがいるのか、と思うと自然と口元が緩む。


…あれ、そういえば部屋綺麗だったっけ？
洗濯物、部屋の中で干しっぱなしだったっけ？


全っ然思い出せない。


《おつかれさま。いいですよ。部屋汚いかもしれないです、ごめんなさい……》


返事を送って、マンションへと向かう足を早める。


もしかしたら、まだ翔太さんも仕事中かもしれないし！まだうちに入ってないかもしれないし！


散らかった部屋を見て幻滅されたくない。

カツカツとヒールを鳴らし、早足でコンビニの前を通り過ぎた。

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