偶然は必然だと教えてください。3《青》

狂騒イントロダクション ページ19

目「あーあ、俺の時もモデルがドタキャンしてくれたらよかったのになあ」

　『蓮くん。相手のモデルさんに失礼でしょ。』


目「えー、だって…しょっぴーだけずるい。」


撮影の休憩中、机に突っ伏しながら駄々をこねている蓮くん。

翔太さんから前回の撮影の話を聞いたらしく、現場入りしてから何回もこの話をしている。


蓮くんの設定はバンドマンだ。

蓮くんの後ろには撮影で使っているベースが立てかけられている。


手元にある今回の撮影の設定資料に目を落とす。


隣の部屋に住むバンドマン。仕事の行き帰りに部屋の前で遭遇することが多い。担当楽器はベース。デビュー前だが、人気はそこそこで彼の出演するライブのチケットは即完売する。
　
掴み所のないキャラクターと、時々顔を見せる色気に翻弄されるあなた。気がつくと彼の出演するライブへと足を運んでいてー。


ライブのチケットは即完売…って、蓮くんみたいなカッコいい人がいるバンド。そりゃあ人気でるよなあ〜なんて考えてしまう。

　『じゃあ、次はライブハウスの撮影ね。これからロケバスに乗って移動します。蓮くんは現地で撮影終了になるから、忘れ物しないでね。』

「はーい」と元気なく返事をする蓮くんを置いて、現場の解体作業を進めた。

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