家事、お引き受けいたします。【白】

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｢ちょっと待ってください。
え？決まったんですか？｣


夏｢うん。早速来週お試しに行ってほしい
お宅があるんだけどいい？｣


｢はい！？
バイトは事務所勤務って書いてありましたよね！？｣


夏｢んーん。勤務内容によっては
例外もあるって書いたよ。｣


｢えぇ……｣


夏｢それにほら、佐々木さんのPRポイントのとこ
家事全般もできるって書いてあるじゃん。｣







確かに私は浪人期に自分のことは
全て自分でやっていたから最低限のことならできる。


でも本当に誰かの家でやることなんて想定していない。


私にできるのだろうか。







夏｢それに今回担当してほしいお家は
高校生のお子さんがいるのよ。

だからおばさんよりも佐々木さんみたいな
若い子にお願いしたいんだよね。｣


｢うーん…｣







私には無理かもしれない、という気持ちを


時給2300円という言葉が
心の奥深くに押し込もうとしている。







夏｢これはあなたに頼みたい仕事なの。｣


｢わ、私に？｣


夏｢うん。もちろん無理強いはしないけど。｣







夏川さんは結構真剣な顔をしていて、Noと言いにくい。


それに少しだけ、家事代行という仕事に興味があった。


来年からは親が望んでいた王手企業で
歯車として毎日同じように働くんだから


学生生活最後の年に冒険してみてもいいんじゃない？







｢……分かりました。やらせて下さい。｣


夏｢ほんとに！ありがとう〜！！｣


｢でも…私が行く家って……？｣


夏｢大丈夫！それはちゃんと説明するから！
ひとまず、この会社のこと話すね。｣







こうして私は、ほとんど装備なんてせずに
全く知らない場所へ足を踏み入れた。


きっと、周りの人は笑うだろうね。


"ばかじゃない？"って。







でもね、この冒険は
決して交わるはずのなかった君と私を
巡り合わせてくれたんだよ。

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