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心臓の鼓動が全身に響く。
恐怖と、安堵。
そんな正反対の感情が私をかき乱す。
岩「俺らは勝つためにやってんの。
速いやつを使うのは当たり前だろ。」
『っ…でも!
自己ベストは私の方が速いんだよ!』
岩「吉田はそれを超えるよ。」
岩本先輩はそう言い切った。
根拠とか自信なんてないのに。
岩「それに、これは吉田が決めたわけじゃない。
吉田を悪く言うのは違うだろ。」
苺「とにかく!今度の市大会はAだから!
文句言うのはその時の走りを見てからじゃない?」
先輩たちは複雑な顔をしていたけど
私たちから離れていった。
岩本先輩と苺花先輩は
その場に座り込んで柔軟を始める。
流れかけた私の涙はいつの間にか止まっていた。
苺「照かっこよかったじゃん!」
岩「別に?ほんとのこといっただけだろ。」
苺「それはそうだ!」
岩「ほら、吉田もアップしろよ。」
「えっ!あっ!はい!」
岩本先輩に言われて、私も地べたに座る。
苺「でも今年、立野学園がめちゃくちゃいいメンバー揃えてるらしいんだよね。」
岩「あー、俺も聞いたわ。」
苺「いやぁー今年こそは全国行きたいなぁ!」
岩「頑張ろうな、吉田。」
頑張らなきゃ。
私に期待してくれてる人たちがいる。
その期待に応えたい。
私のせいで負けるなんて、
そんなこと絶対に許されない。
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作者名:ひなの | 作成日時:2021年7月22日 21時