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トラックの方を見ると、黄色いバトンを持った
さっきの女の先輩が地面に膝をついていた。
そこからすぐに立ち上がって走り出すけど、
前の集団とは差ができてしまっている。
隣で岩本先輩も苦い顔をしている。
それでもなんとか、
次の走者のラウにバトンが渡った。
「ラウー!!!!いけーっ!!!!!」
長い手足を大きく動かして走るラウは、
ダンス部とは思えないほどの速さだった。
かなり開いていた前の集団との差を
ぐんぐんと詰めていく。
岩「ほら、吉田。次だろ。」
「あっ!やば。」
岩本先輩に言われて
私もバトンパスのエリアに入った。
そこにいる人たちは、運動部のキャプテンを
やっているような先輩ばかりで
なんとなく見たことのある顔が並んでいた。
『黄色、黄色速いです!
あんなに差があったのにもう追いつきそうです!』
「ラウ!」
ラ「Aちゃん!」
私がバトンを持った時、最下位ではあったけど
周りの先輩たちとの差は明らかに縮まっていたし
抜かせない距離じゃない。
陸上部の意地、見せないと。
『さぁ、第5走者とアンカーはトラック1周です!
ここで順位変動はあるのでしょうか!』
目の前の先輩たちを捉え、必死に足を動かす。
トラックの少し外側を走りながら
ひとり、またひとりと抜かしていった。
『現在の1位は紫です!
2位は……えっ!?き、黄色です!!!』
残り50m。
1位を走るのは苺花先輩。
私は無我夢中で
苺花先輩の背中を追い続けた。
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作者名:ひなの | 作成日時:2021年7月22日 21時