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ふたりの世界は独特で
ふたりにしかない空気感が出ている。
岩本先輩は苺花先輩の前だとよく笑うし
すごく気を許しているような気がする。
私には見せない顔を見せている。
ラ「Aちゃん、ねーちゃんと岩本くんが
仲良いの気にしてるの?」
「そりゃ…ね」
ラ「大丈夫だよ!それは!」
へらへら笑いながらラウは言った。
大丈夫って…そんなのわかんないじゃん…
ラ「だってねーちゃん彼氏いるもん!
岩本くんのことそんな風に見てないよ。」
「へ…?彼氏?」
ラ「うん!めっちゃラブラブ!」
「うそ…知らなかった…」
ラ「だからそこは気にしなくていいんだよ!」
じゃああんなに仲がいいのは、
普通に友達としてってこと?
え、そうなの?
ラ「それ、早く岩本くんに届けてきなよ。」
「あ、うん。」
ラ「いってらっしゃ〜い!」
私はとりあえず立ち上がって、マネージャーから
預かったドリンクのボトルを手に取った。
えっと…何組だっけ…
ラ「岩本くんは3組だよ!」
.
3年生のフロアはガヤガヤと賑わっていた。
ひとつしか変わらないのに
なんでこんなにも大人っぽく見えるんだろうか。
3組の教室に行くまでの道では上履きの色の違う私に
視線を向ける先輩たちがたくさんいた。
そして、教室に到着して
全開のドアから中を見てみると
窓の近くで何人かと談笑している
岩本先輩を見つけた。
そこに向かって声を出す勇気はなくて、
なんとかして気づいてもらおうとしたけど
岩本先輩は話に夢中でこちらなんて見向きもしない。
「あの…」
『…はい。』
「い、岩本照先輩呼んでくれませんか…?」
ドアの目の前の席に座る女の先輩に声をかけた。
先輩は眉間に皺を寄せて少し嫌そうな顔をしたけど、
窓の方へ行って岩本先輩と話をしてくれた。
「元素の世界」……
なんか死ぬほど難しそうな本…
女の先輩が机に置いていった本の表紙が目に入り
そんなことを思った。
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作者名:ひなの | 作成日時:2021年7月22日 21時