恋セヨオトメ【黄】 (ページ18)

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そしてついに、400メートルリレーの始まりを伝える
アナウンスが響き渡った。

会場内にいる選手やスタッフ全員が
グラウンドに注目している。

私は今世紀最大のプレッシャーで、
もはや何も考えられなくなっていた。

苺｢練習通りだよ！頑張ろうね。｣

『絶対に勝とう！』

『私たちなら1位取れる！』

苺｢A、ほら！笑って！｣

｢…はい！｣

このリレーでは1位か2位になれれば県大会に進める。

私たちのブロックには強豪校の立野学園がいて
どちらが1位をとるか、という戦い。

苺花先輩たちはここで立野学園に勝つことが
この後の流れをつくると言っていた。

だから、負けられない。

苺｢いくぞーっ！！！｣

｢『オーーーー！！！』｣

4人で円陣を組んで、自分たちの位置へ散らばる。

第二走者の私も所定の位置に向かった。

何回も深呼吸をしても、鼓動は速くなるばかり。

今から勝負が始まるこの場所で
なぜか私は泣きたくなっている。

私のせいで負けたら……？

自分を奮い立たそうとするけれど、
そんなネガティブなことしか思いつかなくて

余計にしんどくなる。

だけど時間は待ってくれなくて、

選手紹介が終わって
第一走者がスタートの体勢に入った。

『Set』

さっきの自分の100mがフラッシュバックした。

嫌だ、あんな風にはなりたくない。

私が選ばれたんだから、
ここで迷惑かけるわけにはいかないんだよ。

パァンッ!!!!

第一走者がスタートした。

一番内側を走る先輩は
あっという間に4人を抜かした。

そしてもう1人抜けるかどうかという状態で
私に順番がまわってきた。

バトンを受け取る姿勢を取る。

そしてその姿勢のままいつもと同じタイミングで
前を向いて走り出した。

『A！』

バトンの重みが手のひらに伝わる。

私は、無我夢中で走った。

だけど、なぜか足がすごく重い。

動かしても動かしても
全然加速している感覚がない。

むしろ、意味わからないくらい苦しくなって

呼吸が乱れる。

たった100mなのに、
終わりのない道を走っているようだった。