家事、お引き受けいたします。【橙】

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向｢……って、こんなこと言わせんなやっ！
めちゃ恥ずいやん。｣


｢私だって恥ずかしいよ？｣






向井くんは、私から目をそらすと
カメラを操作し始めた。


その慣れた手つきは、
なんだか素人には見えない。







｢カメラ、好きなの？｣


向｢ん？うん。仕事やからね。｣


｢え？仕事？向井くん、カメラマンなの？｣


向｢そーやで。まぁまだ駆け出しやけどな！｣






私の周りにはいないその職業に
すごく興味が湧いた。






｢ええっ、すごいね。｣


向｢そんなことないわ！｣


｢どんなもの撮るの？｣


向｢なんでも撮るで！人も景色も撮る！｣


｢へぇ………あ、もしかしてさ。｣


向｢ん？｣






私は立ち上がり、テレビの横に並んだ本を手に取った。


これは掃除をしたていた時に見つけたもので
ちょっと気になっていた。






｢これ、向井くんが撮った写真が載ってるの？｣


向｢あっ、それは……そうなんやけど……｣


｢見てもいい？｣


向｢いや、恥ずかしいからやめようや！な？｣







向井くんもこちらに来て
私から本を取り返そうとする。






｢いいじゃん！写真集ってことは
みんなに見てもらうために作ったんでしょ？｣


向｢じゃあこっちのやつ見てや！
これのほうが最近なんよ！｣






そう言って向井くんは頑なに最初に手に取った写真集を
見せようとはしてくれない。


逆にそれが気になってしまって
私も譲らない。







｢わっ、｣

向｢あっ、｣







本の取り合いをしていると、
一枚の写真がひらひらと床に落ちた。





その写真には、


麦わら帽子を被って
白いワンピースを着た女の人の後ろ姿が


写っていた。

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