家事、お引き受けいたします。【桃】

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事故より前の記憶。


それは、私との記憶も
もちろん含まれるだろう。






｢それって、6月18日ですか。｣


佐｢えっ、あぁ…うん。なんで知ってるんですか？｣


｢いや、テレビで見たっていうか……｣


佐｢ふーん………そっか…｣







大介は不思議そうな顔をした。


だけど、私の中では
全て繋がった。





連絡が途絶えたことも、
私の顔を見て無視されたことも、


彼の記憶から私が消えたからと考えたら
全部説明がつく。







｢なにも…覚えてないんですか？｣


佐｢うーん。一般的なことは覚えてるんですけど、
思い出？とかはなんにも。｣


｢学生の時…とかも？｣


佐｢あーそうそう。だから、友達のことも忘れてて。
自己紹介からはじめてもらいました(笑)｣







捨てられたわけじゃなかった、ってことだよね。


そう思ったらなんか少しほっとして
ずっと張りつめていた身体中の糸が緩んだ。







佐｢えっ、中村さん、泣いてる！？｣


｢……っ、うぅ…ごめんなさい…｣


佐｢えーどうしよどうしよ！！！
とりあえず！はい！ティッシュ！使ってください！｣







大介から渡されたティッシュで涙を拭うと、
アイメイクが取れて茶色く染まる。


せっかく久しぶりにちゃんとメイクしたのに
意味ないじゃんね。







佐｢……だいじょうぶ？｣







大介は心配そうに私の顔を覗き込んだ。


私が生理の日もそんな顔をして
そばにいてくれたよね。





あぁ、今すぐ抱きしめたい。


私のこと思い出してよ、って言いたい。





私、あなたの彼女だったんだよ。

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