家事、お引き受けいたします。【桃】

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颯｢ねぇ！見て見て！｣


｢ん？｣


颯｢そろそろ決めませんか！｣







じゃーん、と颯太が見せてきたのは
結婚式の会場のパンフレット。


豪華な建物が綺麗に写っている。






颯｢式までもう後半年だし！｣


｢そう…だね。｣







結婚。


その言葉は私に重くのしかかる。


3か月前にプロポーズをされた時は嬉しかった。


はずなのに。





今は胸がざわざわする。


正直、楽しみだと思えない。







颯｢俺はねーここを推してるんだよなぁ！｣


｢…うん。素敵なところだね。｣


颯｢でしょ！｣







颯太は嬉しそうに笑う。


私はこの笑顔に何度も救われた。


ボロボロだった私に生きる力をくれた。





颯太は結婚しても絶対に私を大切にしてくれるし、
きっと、いい家庭を築くことができるんだと思う。


普通に考えたら、このまま結婚するべき。


それはよく分かってる。





だけど、





どうしても大介の顔が頭をよぎるの。





まだ再会して間もないし、
私のことを忘れているはずなのに


彼はあの頃の気持ちを
引っ張りだそうとする。







結婚して彼とまた会えなくなることが
怖くて、嫌だと思ってしまう。







颯｢…A？｣


｢ん……？｣


颯｢ごめん、ちょっと急すぎたかな？｣


｢いやそんなことは…｣


颯｢……また今度にしようか！｣







ごめん、と言いながらも、ほっとした自分がいた。


あぁ、私、最低だ。

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