家事、お引き受けいたします。【緑】

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阿｢あっ、いやっ！これは……｣






亮平さんは画面と私を交互に見ながら
あたふたしている。


イヤホンをつけていない私には画面の向こうの人たちがなにを話しているのかは聞こえない。







阿｢えっ、？｣







亮平さんが私を見てフリーズした。


状況が全く読めない。


目で｢どうしたんですか？｣と送ってみるけど
反応はなし。







阿｢…………あー……そう…です。｣


｢……？？｣


阿｢彼女…なんです。｣


｢へ？｣







今、なんて言った？


自分のなのか分からないくらいの
間抜けな声が出てしまった。







阿｢はい……あ、いや…結婚は…｣


｢え、ちょ、っと？｣


阿｢あははー……そうですねー…｣







亮平さんは相槌を打ちながら書類の端っこに
｢あとで話す｣
と走り書きして、私に見せてきた。


そして何度も頷いて、目線をキッチンの方へ流す。


多分、あっちに行けということだろう。







｢……はぁ｣







私は仕方なくそれに従い、近くのスーパーで買ってきた食材を持ってキッチンの方へ移動した。





今日の夕飯は焼きそば。


具材の野菜を切りながらも頭の中はモヤモヤしていた。





全く訳が分からない。


彼女なんです、ってなに？


私のことを言ったの？


いや、違うよね…？





切り終えた野菜たちを炒めながら
亮平さんの方を見る。


今度はちゃんとした会議をしているみたい。


画面に向く真剣な眼差しを見ると
なんだか懐かしい気持ちになる。





だけどやっぱりさっきのことが気になって
調味料を入れすぎてしまった。

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