家事、お引き受けいたします。【緑】

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23:30。


遅い。遅すぎる。





いつもなら21:30には帰ってくる亮平さんが
なぜか帰ってこない。


遅くなるなら連絡してくれるはずなのに。





事故にでもあったんじゃないかと心配になる。


電話……してみようか。





そう思って携帯を手に取った瞬間、
玄関から物音が聞こえた。


すぐに廊下に出ると
壁に寄りかかって座っている亮平さんがいた。








｢りょ、亮平さん！？｣


阿｢んー……｣







顔が真っ赤で目がとろんとしている。


多分酔ってる。







｢大丈夫ですか！？今水持ってきますから！｣


阿｢んん…｣







私はリビングに行ってコップに水を入れた。


亮平さんが酔っているところなんて見たことがない。


なんせあの人は飲み会でも
お酒をほとんど飲まないから。


あんな姿、想像もしてなかった。







｢はい、これ飲んでください。｣


阿｢ん…｣


｢どうしたんですか……こんな飲んで……｣


阿｢…から……｣


｢ん、なんですか？｣


阿｢だって松本さんが…
松本さんが田中のところに行っちゃうから…｣


｢え……？｣







その言葉を最後に亮平さんは
スヤスヤと眠ってしまった。




私が、樹のところに行ったから…？


だからこんなに飲んだ？


……それは、どういう意味？








亮平さんは違う人が好きなんだよね。


そうだよね。


じゃあなんでよ。


なんでそんな誤解をしてしまうようなこと言うの。







私は樹が好き。


あんなに好きだった人と
やっと付き合えたんだもん。





だから、亮平さんはもう忘れるの。


もう、好きじゃないの。


これ以上、私の心をかき乱さないで。

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