家事、お引き受けいたします。【緑】

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亮平さんが好きだった。


今までとは違う関係で関わるようになって
亮平さんの素敵なところにたくさん気づいた。


仕方なく始めたはずの偽装彼女に
幸せを感じてしまったの。







田｢もしかして…好き、だったの？｣


｢……｣


田｢まじか。わりぃ。｣


｢いや…私は…｣







どうにか強がろうとしたけど
今の私の精神状態では無理なようだった。


言葉に詰まるのを誤魔化すように、下を向く。





すると、田中先輩は私を抱きしめた。


優しく、包み込むように。


香水の匂いが鼻を掠める。







田｢辛いよな。叶わない恋って。｣


｢叶…わない…｣


田｢俺の好きになった人も相手がいて
もう諦めようかと思ってた。｣






笑ってるけど切ない


そんな顔をしていた。


田中先輩は、どんな人を想っているんだろう。







田｢松本。｣


｢……？｣


田｢俺だったらお前に叶わない恋とかさせないけど。｣


｢え…？｣


田｢俺じゃだめ？｣







分からない。


田中先輩の言っていることが、分からない。







｢どういう…こと…｣


田｢課長じゃなくて俺のこと好きになれよ。｣


｢……何言って…｣






そんなことを言われたのは初めてだった。


私が好きになった人は
いつもこちらを向いてはくれない。


田中先輩もその1人だったのに。





なんで今、そんなこと言うの。








田｢俺が課長のこと忘れさせてあげる。｣







亮平さんのことで傷んだ心に
田中先輩が優しく触れた。


私は亮平さんへの気持ちを
忘れるべきなのかもしれない。

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