家事、お引き受けいたします。【緑】

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阿部side





ニセモノじゃなくてホンモノになりたい。


そう願ってしまってはダメなのかな。




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｢営業課に配属されました、新卒の松本Aです。
よろしくお願いします。｣






第一印象は、他の人と変わらない
至って普通のものだった。


だけど他の奴らは違って、
美人だの、スタイルいいだの褒めまくり。


入社数日で社内のマドンナになった。


……まぁ、本人は全く気づいてないんだけど。







阿｢松本さん、この資料印刷しておいてもらえる？｣


｢あ、はい。｣


阿｢ありがとう。｣







俺的には、この媚びない感じが少し新鮮だった。


若い課長、というだけで擦り寄ってくる女の子は
たくさんいたから。


その子たちは俺の中身なんて見てなかったんだよね。







｢あの、亮平さんって誰にでもそんなに優しくして
疲れないんですか？｣


阿｢え？｣


｢なんか常に誰かのために動いてる感じするから
すごいなって思ってたんです。｣


阿｢あぁ…そう見える？｣


｢その感じ、無意識ってことですか？(笑)
亮平さん、本当にかっこいいですね。｣







松本さんが初めてだった。


中身を褒めてくれた人は。


肩書きや外見、学歴なんかじゃなくて
人としての部分をかっこいいと言ってくれた。





あの日から、俺は松本さんのことが
気になって気になって仕方なくなった。


もっと話したい、知りたい
と思うようになった。





そして気づけば、好きになっていたんだ。





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｢じゃあ、今日は彼女ってことで……(笑)｣








俺がホンモノの彼氏になれる日は
いつか来るのかな。

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