偶然は必然だと教えてください。《青》

不機嫌 ページ24

深澤side


なべの機嫌が悪い。

今日の撮影中もなんだか浮かない顔だし。時々目黒のことを目で追っているようだった。


阿「ねぇ、ふっか。」

深「ん？何」

阿「翔太と目黒なんか変じゃない？」


あべちゃんもその異様な空気を感じ取っていた。
集合写真でも三人ずつの撮影でも絶対に隣に並ぼうとしないなべ。


さすがに良くない雰囲気だなと思い、待機中目黒に何かあったのか聞こうという話になった。

今は個別写真撮影の待機中。

機嫌が悪いなべとは対照的に目黒はやけに上機嫌だ。
口を緩めながらスマホを眺めている。


深「なぁ、目黒。ちょっといい？」

控室の外を指差し、外に出るよう促す。
目黒は特に嫌がる様子もなく大人しくあべちゃんと俺の後についてきた。



阿「翔太の様子がおかしいな、って思ってさ。なんかあったの？喧嘩？」


あべちゃんが開口一番そう切り出すと、目黒は一切表情を変えることなく、


目「あー、多分それ俺のせいっすね。」

と言った。


深「…なんで？」



目黒は少し考えた後、ぽつぽつと話し始めた。



Aちゃんと二人で呑みにいったこと。
予想以上にAちゃんを酔わせてしまい、送っていったはいいもののエントランスでなべと遭遇したこと。その時にAちゃんの頭を撫でていたところ見られていたこと。



目「それだけなんですけどね。」


目黒は紙コップにはいった水を煽るように飲み干した。



深「目黒さ。まさかAちゃんと、」

目「…まだ。って言った方がいいかもしれないですね。」


遠くで目黒を呼ぶ声がする。
スタッフさんの声だ。


じゃあ行ってくるね。と目黒は個別写真の撮影へと行ってしまった。




阿「…ふっか。後でいろいろと説明してもらえる？」

深「あべちゃん。23歳ってやっぱり若いなぁ。」

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