Lily【dtnb】 (ページ6)

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secret touch.３ページ6

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そういえば、企画趣旨はデートでしたね。
アイドル宮舘涼太の顔で、しょうたに向き合う。

と、

「ちょ、やめて。
　いきなり舘様全開でこられると笑っちゃう」

しょうたは照れたように、
伏し目がちに、手で俺の顔を遮るように
ストップをかけてきた。

「人の顔見て笑わないでよ」
「や、何ていうの？こういう雰囲気に
　館さんって、似合いすぎて」

涼太とこういうの、照れる。
とつぶやいた声は、
俺にしか届かなかったと思う。

何それ、かわいい。
とか思ったら、俺にまで照れが伝染して
アイドル宮舘涼太の顔が、揺らいでしまった。

「いいですね〜！そんな感じで
　そのまま微笑み合ってみましょう！」

カメラマンさんにそう煽られ、
２人顔を見合わせて、思わず苦笑いしてしまった。

「次はピアノのところで、別カットお願いします」
「はい」
「わかりました」

バーカウンターから移動して、ピアノへ。

「グランドピアノだね」
「学校によくあるやつだ」
「ピアノ生演奏を聞きながら、
　お酒を飲めるのが人気のお店みたいですよ」

メイクさんが俺たちのつぶやきを聞いて、
メイクを直しながら教えてくれる。

「こういうお店来んの？」

まだ撮影は準備中。
しょうたが話をふってきた。

「バーはひとりでふらっと行くことはあるけど…
　ここまでオシャレなとこは、さすがに。レベル高い」
「ひとりで外で酒飲む時点で、俺にはレベル高いけどな」

そもそも、ひとりでご飯食べるの
好きじゃないよねしょうたって。
元々偏食で、あんまり食に興味ないし、
根がさみしがり屋だから、ひとりで食べられないんだよね。
本人に言ったら、否定しそうだけど。

「お2人はピアノ、何か弾けたりします？」

カメラの試し撮りをしながら、
カメラマンさんが尋ねてくる。

「いえ、俺はもう、まったく！」

そんなに力いっぱい否定しなくていいよ…！
思わず笑みがこぼれてしまう。

上がってしまった口角を無理やり戻して
俺は、何も言わずに椅子に座り、
おもむろに鍵盤をたたく。

すかさず切られるシャッター。

言っても俺も弾けないので、
唯一弾ける猫ふんじゃったを披露。
それも全部は弾けないから、数小節だけ。

「…うまいね」

これだけなのに、しょうたは
本当に感心してるみたいな素ぶり。

何だろ、今日はやけに、
しょうたが可愛い気がする。

このおしゃれな雰囲気のせいかな。

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