never ending story.1 ページ16
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念願のデビューを果たし、
ようやく立てたスタートライン。
そこからは、もうがむしゃらだった。
怒涛のような日々。
守りたいと願ったその居場所は、
自分たちの思いもよらないスピードで
変化していった。
でも、変わっていく景色のなかに、
変わらないものがあって。
デビューから、もうすぐ3年。
【never ending story】
「色々あったよなぁ、ここまで」
作ってあげたハイボールをひと口煽り、
しょうたがつぶやいた。
うちの大事なグループの末っ子が、
今世界に羽ばたいている、今。
俺は公演真っ最中だけど、
今日の夜公演と明日は休演日。
その日程を調べた上なのか、
珍しくしょうたから、
涼太のごはんが食べたいと連絡がきて、
二つ返事で承諾した。
とりとめのない、気の置かない時間を
過ごしたい気がして、
そしてしょうたも同じ気持ちのような気がした。
昼公演を終え、楽屋でひと風呂浴びてからの
完全オフモードでお出迎え。
しょうたは、俺が指定した買ってきてほしい食材と、
ワインと生ハムやチーズなどのおつまみを手土産に
我が家へやってきた。
「はい、頼まれたやつ。
合ってるかわかんねーけど…
一応お店のおにーさんに聞いたから大丈夫なはず」
「ごめんね、買ってきてもらっちゃって。
ありがとう、手土産まで。
そんな気ぃ遣わなくてよかったのに」
「公演真っ最中なのに、誘ったのは俺だし。
これくらいは、全然」
「や、嬉しかったよ」
しょうたには座るよう促して、
自分はエプロンをつけてキッチンへ。
「できるまで、何か飲む？」
「んー…大丈夫。
飲みはじめは一緒がいい」
別に気にしなくていいのに。
とは思うけど、その気持ちが可愛いから
そのまま受け取っておく。
手土産にくれた生ハムやチーズは小さくカットして、
家にあったナッツやドライフルーツと
軽くつまめるよう、カッティングボードに盛り付ける。
その間に、ヤングコーンや小さく切った野菜をゆでて。
これは最近好きなドレッシングを温めて和えて、
温野菜サラダにする。
あまりお待たせしないように、きびきび動いていると
カウンター越しに乗り出して様子を覗き込んでくる。
「本当器用だよね、涼太」
「そう？」
手持ちぶさたなのか、
しょうたは俺の挙動が気になる様子。
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作者名：ほたて | 作成日時：2023年1月4日 20時
