想像を超えていけ。２※ ページ12
⁂
まっすぐな目が、俺を射抜く。
すこしギラついて、熱を帯びた目
ダンスに全力にストイックで
色気全開の時と似てるけど、
でもちょっと違う。
獲物をとらえたような、本能が見える。
あー…見たかったのは、多分この顔。
下半身が、ずくっと重くなる。
と思ったら、また顔が近づいて
濡れた音とともに、舌が吸い上げられた。
「あっ…！」
思わず、上ずった声が出てしまう。
優しく、でも逃がさないというように
濡れた音を部屋中に響かせながら
舌が吸われ続ければ、
「んん、っぅ…！」
何も考えられなくなってきて、
息つぎの仕方が分からなくなる。
とうとう苦しくなって、
涼太の胸を叩き抗議の意を伝えると、
一際吸い上げられてからようやく解放された。
「はぁ…っ、けほっ」
酸素を求めて、大きく空気を吸いこむと
少しむせてしまった。
心臓がどくどく鳴っている。
整わない呼吸を、暫しうつむいて必死に整える間も
首筋や耳を涼太の指が撫でていく。
目線だけを動かして、涼太の様子を窺えば
優しい目で俺を見ていた。
「Sかよ…」
「どうだろ？痛いことはするのも、
されるのも、趣味じゃないんだけどな」
それは、俺のイメージでもそうだけど。
でも今苦しんでた俺を見てた目は、
楽しんでるのが隠せてなかったぞ…
「SかMかなんて、時と場合によらない？」
「そうか？俺はSでしょ。
俺も痛いことして喜ぶ趣味はないけどね」
「そうかな？」
「……っ！？」
すっと下腹部に、涼太の手が伸びてきて
思わず腰が引けた。
スウェットの膨らんだところを
形を確かめるみたいにそっと撫でられる。
「俺は、ダンスも舞台稽古も、
仕事で自分を追い込むことは苦じゃないから
MといわれればMかもしれない」
「…っ、…っあ、」
厚い掌がスウェット越しに
ゆるゆると往復する。
「でも…しょうたの悩んだり我慢してる姿は
美しいと思うし、
こうしてると優しい気持ちだけじゃなくなるから、
しょうたには、Sなのかもしれないね」
何事もないかのように話し続けながらも、
手は止めない。
こういう、口を挟む余地を与えない
強引さは、まあSっぽいわ。
俺だけが、硬度を増して、
身体の芯から熱がひろがっていく感覚。
「俺だけ…やだ。涼太も」
俺だけがアツくなってるのは、恥ずかしい。
涼太に触れようと腕を伸ばした。
⁂
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 431人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ほたて | 作成日時：2023年1月4日 20時
