secret touch.７ ページ10
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「しょうたってさ、」
ふーっと長く息を吐いて、
また幼なじみを引き寄せて腕の中へ引き戻す。
「考えるの面倒になって、
とりあえず動いてみるのに、
実際その場になるといろいろ考えちゃって
身動きとれなくなるタイプだよね」
「…わかんね、っけど」
「今日もよく分からないままついてきて、
実際こうなると怖気づいてる」
腕の中で、肩に力が入ったのがわかる。
「何だっけ、俺としょうたの考えてることが
同じかどうか、だっけ？
俺の考えを言うよ。
今ここに、しょうたが来たことが、
今日撮影中ひそかに触れてきたことが、答え」
しょうたは、どう思う？
ピアスが揺れる耳元に唇を寄せて
そう声を吹き込んだ。
いつか言ってたね。
俺もう分かってんだよ、
病院の時から見てんだよって。
言葉にしなくても、分かる。
分かるからこそ、言えないことがあった。
幼なじみであり、
友達以上であり、
仕事仲間であり、
でもこの関係にラベルをつけるのを躊躇った。
多分、お互い。
俺は別に、このままでも構わないって
正直思っていたところはある。
しょうたが、女の子と遊んでいても、
仲のいい友達が他にたくさんいても、
この関係にラベルなんかつけなくたって
トクベツって、分かっていたから。
「お前、心臓はやいね」
口を開いたしょうたは、
独り言のようにつぶやく。
「そりゃあ、ね。
仮にも、抱き合っちゃってますし」
「変わる？俺の、せいで」
自分の行動を後悔し始めている様子。
でも、勝手に自分だけで決めないで。
「変わるかもしれない、
変わらないかもしれない。
言ったでしょ、無理強いはしない」
未来は、２人の選択の積み重ね。
それは今までと、何も変わらない。
「俺はうれしかったけどね、
しょうたのおかげで」
その言葉に、しょうたはため息をつく。
「本当…そういうとこだよ」
そう言うと、急に体を引いて
顔を上げたかと思うと、
一瞬、唇が触れあった。
「涼太は俺の予想、いつも簡単に超えてく」
…いやいやいや！
今ラインを超えてきたのはそっちでしょ！
距離を詰めてきたから、こっちも歩み寄れば引くし、
かと思えばまた急に飛び越えてきて。
変に肝がすわっているといいますか、極端といいますか…。
まあ、とりあえずもう１回。
体を引き寄せて、
今度は俺から口づけたのだった。
【secret touch.】
⁂snowらいふ152回
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作者名：ほたて | 作成日時：2023年1月4日 20時
