詐欺師の許嫁はクーデレお嬢様 (ページ3)

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クーデレ1% ページ3

「近くで見るとデカいな……」

「気ぃつけろよ。毒飛ばしてくるかもしれへんぞ」

視線の先には、ピンクのふわふわを見に来たであろう1年生の姿。

さてどうしたものか、と横を見ると、チーノは愉しげに笑っていた。話しかけに行きたくて堪らない、って顔。アンタの方が分かりやすいわよ。

「…仕方ないな、着いてってあげる」

「ええの！？さっすがA、やっぱ俺の許嫁やな〜！！」

「あっそ。ほら、さっさと行くよ」

「クーデレなのは相変わらずやな、ほな行こか！」

チーノは私の態度には気にも留めずに私の手を引っ張って彼らの側まで近寄った。

ある程度まで来たところで、チーノは私の手を離してニット帽の悪魔の目の前に回り込んだ。

「いやぁ…学園内の騒ぎにいち早く駆けつけるその探究心！！さすが！！シャオロンさん！！」

あのニット帽の悪魔はシャオロンと言うらしい。…もしかして、団長に無理やり入れさせられた人？ふーん、可哀想。

「ビックリしたァ！！誰やお前！！」

「ありゃ、こんなとこで奇遇ですね。チーノ先輩」

シャオロンはチーノを知らないようだったが、豚の見た目の悪魔……トントンは私のことを知っていた。そう言えば、前に1回会ったな。

トントンに先輩と呼ばれたチーノは嬉しそうに口角を上げた。……あぁ、また始まるのか。

「先輩なんてそんなそんな！同じ位階「2」なんですからチーノでええですって！昇級おめでとう！シャオロンさんも1年生で「2」はすごい！！」

「お、おう…？」

途端に詐欺師モードに入ったチーノを見て、シャオロンは戸惑っている。ちなみに、チーノがいつものモードに入ったせいで私は行き辛さを感じている。

「えーと、ウツさんは位階「1(アレフ)」なので…奴隷な。パン買って来いよ」

「おいッ！！なんやこの胡散臭い悪魔はーー！！」

どんまいウツ。でも諦めて、チーノはそういう奴だから。

「つかなんで俺らの名前知っとんねん…」

「やだな〜とぼけちゃって！同じ師団のメンバーやないですか！」

「ゲッ！？」

「せやで」

チーノが同じ師団なことを知らなかったであろうシャオロンは顔を酷く歪めていた。ははは、チーノ可哀想ー。