*続き ページ8
岩本「ねえ。俺の声、そんなに好き?」
そういうと少し目を見開いた後、ばっとそらされる。
深澤「ちがっ、…く、ない、けど。」
「そ、じゃなくて、最近、照の、そういうの…聞けてなかった、から……。」
岩本「へえー。……例えば?」
さらに意地悪を続けてみると、いつの間にか取り返すことをあきらめ、俺の胸あたりに置かれていたふっかの右手が「、ばか。」という小さな言葉の後に、せめてもの抵抗とでもいうかのように弱々しく、トンっと俺を押す。
そんな攻防の間にも、少しずつ後退する足は止まっておらず、気が付くと後ろが壁になっていた。俺の背中がそれに止められた後も、ふっかは少しずつ距離を縮め、最後にはそのままおれの胸元に頭を預ける。
岩本「ねえ。これもいいけどさ、ふっかは本物の俺、がいるじゃん。」
そういいながら、もう片方のイヤホンを取ってその耳を掌で覆う。そして、空いている方の耳元に顔を寄せた。
岩本「……俺だけにして。こんな、偽物じゃなくて。本物の俺だけ。」
少し離れて表情をうかがおうとすると、また思い切りそらされる。……次は逃がさない。壁に預けていた体重を起き上がらせ、今度はふっかの背中を預けさせて位置を180°回転させる。
驚きでこっちを一瞬見上げたものの、まだ視線はしっかりと交わらない。
岩本「……ふっか、こっち。」
深澤「、………むり…。」
顔を隠そうと伸びてくる手を阻止して自分からその瞳に映りに行く。ばちっ、と目があったかと思うと今度はそらされない。数秒見つめ合った後、もう一度耳元へ。
岩本「好きだよ。愛してる。」
そのまま抱きしめてみるが、反応がない。
岩本「……ふっか、?」
深澤「……、もう、ほんと、……だめだって。みんな、きちゃうってば……。」
そのまま座り込みそうになるところを慌てて抱き上げる。
その後もふざけて好きだの、愛してるだのと甘い言葉をささやき続けていると、だんだん慣れてきたのか、「俺も。」といって少し照れながらではあるが、笑顔を見せる。
それから徐々にすきの言い合い合戦みたいになって、最後に二人とも連呼しすぎて、言い終わった後見つめ合ったまま数秒。そして、二人同時にふきだして大笑いした。
深澤「……照、おれ、やっぱ本物の照が好き。」
岩本「知ってる。じゃなきゃ許さない。」
糖分【あべさく】【めめこじ】【だてなべ】【いわふか】→←本物【いわふか】
329人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
uyumu(プロフ) - 茉音さん» コメントありがとうございます!!共感していただけて良かったです!!これからもぜひよろしくお願いします!! (2023年2月11日 20時) (レス) id: a5db0933c2 (このIDを非表示/違反報告)
茉音 - コメント失礼します! ふっかさんって小悪魔似合いそう、というかこの頃あざといのは狙ってるのでは!?と思っていたので、めちゃくちゃ共感しました!!それとしょっぴーの照れ方がリアル過ぎて尊かったです!!これからも応援しています!頑張ってください! (2023年2月9日 23時) (レス) @page2 id: 22e441d1ce (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:uyumu | 作成日時:2023年2月7日 13時