前髪【いわふか】 ページ17
深澤side
深澤「…や…っべぇ………」
朝風呂を済ませて鏡と対峙した俺は思わずそう声を漏らした。
眉の少し下を触れる前髪の毛先。乾かしてみると、案の定いわゆるオン眉状態となった俺。
昨日美容室で見たときはいい感じだったはずなのに……。
そんなことを考えているうちに、前にもこんなことがあった、と記憶がよみがえってくる。
その時は翔太に散々馬鹿にされて、それで……恥ずかしがる俺を見て、目黒はなぜか可愛いとか言ってたよな……。そん時照はいなかったけど。
とりあえず遅刻するわけにもいかないので応急処置で帽子を深くかぶってごまかすことを決めた。
今日は衣装合わせと振り練習でカメラの前に立つこともないため、一日は乗り切れるはずだ。
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現場についてメンバーが各々スタッフと話し合う。そんな中、俺はやっと少しの安堵を手に入れた。
車の中でも帽子をかぶり続けることを不審に思った佐久間やラウに、何度か無理やり脱がされそうになって大変だったのだ。
少し一息しよう。そう思っているところへいち早く衣装を決めた照がこちらへ近づいてくる。
何で今なんだ。
岩本「ふっか〜…」
顔をのぞき込まれそうになり、反射的に帽子の上から前髪のあたりを抑えた。
それを見て顔をしかめる照。
深澤「…な、なに………。」
そういうと無言で手が俺の頭に伸びてくる。
深澤「、やだっ……。」
無意味とわかっていながらも一応抵抗してみるが、
岩本「もー。やだって……。そんなん言われたら気になるじゃん、」
「なに、隠してんのっ」
と、好奇心に満ちた無邪気な笑顔であっけなく帽子ごと俺の腕は振り払われた。
少しの間があって、そして照の高い笑い声が響く。
メンバーが気づく前に急いで照の手を引いて死角へと逃げるが、その間もその笑い声がやむことはない。
ちょっとでも可愛いとか言われることを期待した俺がバカだった。
岩本「っはー……、おもろ。」
「ふっか、まじで最高なんだけど。」
高笑いの余韻を引きずりながらそうぬかす。
もう、怒りと恥ずかしさでなんて返していいのか……。
言葉が出てこないで、きっと赤くなっているだろう顔で睨み返すことしかできない。
そんな俺を宥めるかのように照は俺の頭撫でた。
それが心地よくて反論なんてあきらめて身を任せていると、無言の中、再び照の口が開く。
岩本「……こういうとこ、結構かわいいよね。ふっかは。」
…だから、何で今なんだ…‼
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uyumu(プロフ) - 茉音さん» コメントありがとうございます!!共感していただけて良かったです!!これからもぜひよろしくお願いします!! (2023年2月11日 20時) (レス) id: a5db0933c2 (このIDを非表示/違反報告)
茉音 - コメント失礼します! ふっかさんって小悪魔似合いそう、というかこの頃あざといのは狙ってるのでは!?と思っていたので、めちゃくちゃ共感しました!!それとしょっぴーの照れ方がリアル過ぎて尊かったです!!これからも応援しています!頑張ってください! (2023年2月9日 23時) (レス) @page2 id: 22e441d1ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:uyumu | 作成日時:2023年2月7日 13時