Past edition Mステ後 ページ13
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『Aさん、昨日のMステ見た？』
家を訪ねて来て荷物を置いたかと思えばすぐの質問に、口を閉じた。
「…見てない」
素直に見たと言えなくて、否定すれば安心したように息を吐いた。
『…そうなんだ』
「…？どうした、珍しいじゃん。いつもはもっと言うのに。」
『いや〜、なんか…恥ずかしかったから、逆に良かった、みたいな？』
「へ〜…」
照れたように笑うその顔にイラついて、返事がおざなりになる。
『また興味無さそう』
「別にそういうわけじゃないけど」
ちょっと来て、と言ってぐいっと引き寄せた。
突然のことだったくせに少ししかぐらつかなかったのにもちょっとだけイラついて、胸元をぐっと掴んだ。
『っうぉ、なに、あぶねーじゃ、、ん、』
目を合わせたまま、唇を押し付けた。
目を見開いたその顔を一秒たりとも見逃したくなくて、じっと睨む。
急にしたくせに、すぐに主導権を握られそうになって、思わずふっくらとした下唇を噛んでやった。
『ぃた、』
パッと手を離して顔を背けると、Aさん？と困惑した声が届く。
『…やっぱ見たでしょ』
その質問に答えられないでいると、体を優しく引き寄せられて、ぎゅうと抱きしめられた。
『ふは、かわいー、。』
あぁ、くそ、余裕のある姿でいたかったのに。
『嫉妬したんだ？』
嬉しそうに笑うのが悔しくて、ついつい黙ってしまう。
『うは、でも実際キスすんのはAさん以外ありえねーし。』
「当たり前だわ、それやったら許さないから。」
じゃあさ、と再び近いてくる顔に反射で目を閉じそうになると。
『だめ、目閉じんな。ドアップキス、するんだろ？』
「は、」
『A、ちゃんと見て、』
もう、目は閉じることは出来なかった。
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作者名：レモンパイ | 作成日時：2021年9月20日 15時
