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下地を手に取ったら、いつもよりも丁寧に塗り込んでいく。
いつものように、濃いアイラインを引いて。
いつものリップを丁寧に塗って。
お気に入りの香水をつけて、お気に入りのハイヒールを履いて。
最後に鏡に映る自分と目を合わせた。
「…よし、」
玄関の扉を開けた。
.
『あ、Aさん、』
「ごめん、待った？」
『いや、全然。』
目の前に腰を下ろして、目を合わせれば、こてんと首を傾げた。
『なんか…いつもと違う？』
「ふふ、すぐわかるよ。」
じーっと見つめてくるのを往なしながら運ばれてきた最初のグラスを手に取る。
「ん、乾杯」
『かんぱーい』
グラスを合わせて口を付けた。
「んま、」
『うわ、これうまいね』
目が合って、思わず笑う。
もう一度グラスを持ち上げると、ようやく気付いたようで。
『っおっ、おっ、おっ、おっ、』
「なにwwそれwwww」
独特な驚き方をするのが面白すぎて、吹き出しそうになる。
『それ、爪、！』
「気付いた？」
よく見えるように手を差し出せば、手を取られて目の前へと持っていかれる。
『黒、！』
「そうよ、誰かさんのリクエストの黒。どう？」
『…めっちゃいいじゃん！』
暫く好きなようにさせてから、手を抜き取ろうと思ったら、指をしっかりと絡められて机の上に置かれてしまった。
目と目がしっかりと合って、
あ、くる。
「…めぐ、」
『Aさん、好き』
きた。
一気に体中に走る緊張を、何としてでもバレたくなくて、思わず自分の手を包み込む大きな手を、握った。
『っ、え、』
「…、私も好き」
.
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レモンパイ(プロフ) - (名前)ミオさん» 感想ありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです。 (2021年9月28日 18時) (
レス) id: e9cecd82e0 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)ミオ(プロフ) - 素敵なお話ごちそうさまでした。色々なお話を読んできましたが、目黒くんのお相手はこんな方だといいなって思っちゃいました。 (2021年9月28日 14時) (レス) @page31 id: dfbbef0672 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レモンパイ | 作成日時：2021年9月9日 17時
