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blue side
「おつかれさまでしたー、」
雑誌の撮影を終えて、外に出れば。
「うそじゃん」
バケツをひっくり返したような勢いで降る雨に、空を切り裂くような雷鳴。
突っ立っている俺の隣で、ふっかがスマホを耳に当てた。
「もしもしぃ？…うん、……ん、はぁーい、」
そう言ってスマホを離すと、まずいなぁ、と呟いた。
「なんて？」
「渋滞してて無理そうだから自力で帰れって。」
『ん、分かった。』
ただねぇ、と渋い顔をするふっかはそのままスマホを操作した。
「あら〜、やっぱり電車止まってるみたいねぇ。」
「まじかぁ、どうする？タクシー呼ぶ？」
どうしようか、と思っていると目黒が突然思いついたようで、スマホを取り出した。
『ちょっと待ってて、』
そして何歩か離れて、話し始めた。
「誰と電話してんの？」
「さぁ？」
すぐに戻ってきた目黒は、嬉しそうな顔を隠さずに言い放った。
『迎えに来てくれるって。2人も乗っていくでしょ？』
「え？まぁ、良いなら…」
なんだか、嵐の予感がした。
そしてその電話からすぐに、目黒が急にぶんぶんと手を振った。
「うわっ！？なに！？」
『え？あぁ、来たよ、迎え。』
黒い車が此方に近づいてきて、それをボーッと眺めていると、その車のスピードがだんだんと落ちてきた。
スピードが落ちたことによって見えた車のエンブレムは、どう見ても銀色で円が三分割されてるやつで。
「…なぁふっか、あれさ、どう見てもさぁ、」
「…そうだね、どう見ても、」
「「ベンツだよね」」
目の前で停止した高級車の助手席の扉を、目黒は遠慮なく開けた。
『あ、2人は後ろどうぞ。』
「あ、うん…」
「え、俺だけ？俺だけついていけてない？」
「翔太落ち着け、とりあえず乗せてもらおう。」
すみませんお願いします、と言いながら乗り込んで、運転席に目を向けると、ハンドルを握る赤い爪が見えた。
え、うそ、まって、
明らかに固まった俺に、ふっかも俺の目線を辿ったのか、息を呑んだ。
けれど、困惑していたのは、俺らだけではなかったようで。
「…目黒、聞いてないんだけど。」
運転席の人が、ため息をついた。
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レモンパイ(プロフ) - (名前)ミオさん» 感想ありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです。 (2021年9月28日 18時) (
レス) id: e9cecd82e0 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)ミオ(プロフ) - 素敵なお話ごちそうさまでした。色々なお話を読んできましたが、目黒くんのお相手はこんな方だといいなって思っちゃいました。 (2021年9月28日 14時) (レス) @page31 id: dfbbef0672 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レモンパイ | 作成日時：2021年9月9日 17時
