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涼太が出掛けてから、着替えて部屋着は洗濯して返そうと思ってバッグに押し込んだ。
マンションに着いて、廊下を歩いていたら手首を掴まれて。
『…！ビックリした、』
「朝帰り？」
『…昼間だよ。翔太、仕事じゃないの？』
「オフだけど。昨日ふっかに会ったんじゃねーの」
『…聞いたんだ』
「佐久間もいただろ」
『…うん。翔太、離して』
「何で連絡返さねーの」
『…翔太、人が来たらまずい』
「質問に答えろって」
『…翔太、』
「…人が来なかったらいいんだな？」
不機嫌な翔太に手を引かれて、翔太の部屋に押し込まれた。
連絡を返さなかったのは確かに私が悪い。
だからちゃんと説明しようとしたのに、怖い顔をした翔太に唇を塞がれた。
すぐに息が苦しくなって、胸を叩いたけど退ける様子はなくて。脳に酸素が回らなくなる手前で、やっと離れた。
『…仕事が、忙しくてバタバタしてたの』
「聞きたいのはそれじゃない」
『…え？』
「この時間まで何処いた？」
『…酔って、友達の家に』
「…そう。何で今日俺が仕事だと思ったの？」
『…普通に、仕事かなと思っただけだよ』
「…目が泳いでるんだけど」
『何それ。
仕事が忙しくて連絡返さなかったのは謝る、ごめん。
でも私が何処で何してようが翔太には関係ないじゃん』
「は？逆ギレ？」
『事実じゃん』
「…心配するだろ」
『…何？聞こえない、』
「心配するだろ、て言ってんの。
女の子の一人暮らしだし何かあったのかなとか思うじゃん」
『…え？』
さっきまで、不機嫌そうに怒ってた翔太が照れくさそうに俯いてしまったから調子が狂う。
こういう時、いつも。
子供の頃から私と翔太が言い合いになると、どちらも引かなくて喧嘩になって口を訊かなくなって。
涼太が仲裁に入って、仲直りしていたから。
翔太だって訳もなく怒ってるんじゃないんだよ、て言っていたのが今になって腑に落ちる。
「何笑ってんだよ、俺怒ってんだけど？」
『…ごめん』
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作者名：白雪
| 作成日時：2024年1月29日 0時
