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渡辺翔太家ついた

子供の頃、家族の仕事の関係で区を移ることになって。
まさかまた翔太に再会するなんて、思ってなかったけど。
再会したばかりか、こうやって会ってるって。
恋人同士でもないのに、私達は可笑しいのだろうか。

翔太は今1番大変な時期で、アイドルだから勿論外で会うのは御法度。
定期的に会うようになった時、翔太が同じマンションに住めばって提案して来て。
そうすれば、お互いの生活は守れるし、会いたい時に気兼ねなくいつでも会えるから、と。
最初は反対したけど、珍しく口下手な翔太の巧みな話術に丸め込まれたから同じマンションに住むようになって。

「A」

『…お疲れ様』

「何か、お前良い香りしない？香水？」

翔太の部屋を訪ねて、玄関のドアをロックするなりふわっと優しく抱き締められる。
翔太の体温は、何か落ち着く。
小さな頃一緒に過ごした懐かしさから来るものかな、と勝手に思ってるんだけど。

『…あ、ボディーソープ変えたからかも』

「…ふーん。A、」

『…何？ご飯は？』

「食べて来た、シャワーだけ行って来ていい？」

『うん』

「…その、教えてよ。ボディーソープ」

『…え？』

「何てやつか、LINE入れといてよ」

『…分かった。変な翔太』

さっと翔太がバスルームに消えたから、ソファーに座ってぼんやりTVを見てるけど。
あまりいい内容ではないな、と消そうとした指先に翔太の指が触れて。

「…待った？」

『…少し、ね』

お風呂上がりの翔太に抱き締められて、身体の体温が上がる。
翔太の顔を見上げたら、何だか切なそうな表情をした後唇が重なった。

「…A。ベッド行こ」

『…うん』