君の彼氏になりたい。 (ページ32)

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Aさんの誕生日。
絶対に一緒に居たかったけど、大事な区切りにその日を選んだAさんの意志を尊重した。
でも、やっぱりどんなAさんも全部焼き付けておきたいって思う俺は欲張りだろうか。

お店に会いに行くことも出来たけど、最後までやり切って欲しかったから集中して欲しくて。
でも、普通の女の子になった瞬間のAさんを独り占めしたかったから阿部ちゃんにお店の場所を聞いた。

いつもなら、絶対人目とか気にするであろうAさんが抱きついて来たのが嬉しくてそのままぎゅっと抱き締めた。

『…ありがと』

「こちらこそありがとう、何でドレス黒にしたの？」

『…冷静だね』

「冷静じゃないけど。めちゃくちゃ綺麗なんだもん、ちょっとヤバい」

『普通は、引退イベントって白いドレスが多いんだけど。蓮くんってメンバーカラー黒じゃないの？』

「俺の為？…ちょっとどころかめっちゃヤバい」

『来てくれてありがとう』

「ねえ、キスしていい？」

『ちょっと！外だよ、』

「先に抱きついたのAさんじゃん」

冷静になったのか、離れようとした身体をぐっと抱き寄せてキスをした。
これは、労いの意味。

『…蓮くん、』

止めようとするAさんの頬っぺたが赤い。
アルコールの味はしないから、それはきっと俺に向けられたものなんだなと思うと嬉しくなって。
もっかい、唇を重ねる。
…これは、好きだよの意味。

『…ちょっと、』

「ふは。帰ろっか」