君の彼氏になりたい。 (ページ22)

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深澤とお別れしてから、十数年も経って。
好きだと言ってくれる人とお付き合いしても、仕事のことで上手く行かなくなってお終い。
その繰り返し。

再会して、何度会っても
何度唇を重ねても、何度身体を重ねても。
結局、深澤の口から「好き」だという言葉を聞く事は一度もなかった。

真っ直ぐに、何度も好きだと言ってくれる蓮くん。
言葉でも、行動でもぶつかって来てくれる蓮くんにいつしか居心地の良さと愛情が芽生えて。
こんなに人を好きになったのは、いつぶりだろうと思うと自分でもビックリした。

…前からいつかは仕事に区切りをつけよう、と思っていた「いつか」がもうそこまで来ているなって感じるようになった。

「Aさん、ご指名のお客様いらしてます」

『はい、行きます』

黒服に着いて行った先には、目深に帽子を被った「お客様」の姿。

「ご指名ありがとうございます、Aさんです」

『…お隣、失礼します』

「やっほ！」

『…阿部くん。連絡くれたら良かったのに…お店に来るとお金掛かっちゃうよ』

「あはは。良いの、きっとこういうAちゃんの姿は見納めかなって思ったし…俺の勝手な憶測だけど」

『…何で？』

「次は純白のドレス姿かなぁ、て勝手に思ったんだけど。違ったらごめんね」

『…阿部くん』

「あと1人、もう少ししたら来る」

『あと…1人？』

「失礼します、お連れ様いらっしゃいました」

「阿部ちゃん、おっちー！！！うわ？！Aちゃん、めちゃくちゃ綺麗になったね！！」

『…さっくん？！』