君の彼氏になりたい。 (ページ17)

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仕事が終わって、タクシーでマンションに到着して。
エントランスを抜けてエレベーターホールに向かうと、居るだけでドラマみたいな世界観を作り出してしまう人物を発見。

エレベーターホールの大理石に座り込んでるその人物に
声を掛ける前に、視線が離せずにいたら
私の鳴らしたヒールの音に俯いていた…蓮くんが顔を上げた。
目が合うと、少しだけ頬っぺたをぷくっとさせて
優しく微笑んでる。

「お帰り」

『ただいま…いつからそこに居たの？風邪引いちゃうからお部屋戻ろうよ』

「何か、すぐ会いたいしすぐ顔見たいから待ってた」

『合鍵使ってくれて良いのに…』

「…え、マジ？やば」

『蓮くんが渡してくれたし、蓮くんだから渡したよ？』

「何かめっちゃ良い、やっぱ」

『…ご飯食べて来た？お寿司ならあるよ』

「わ、食べたい。じゃあお茶淹れるからお姫様はソファー座ってモコと遊んでて」

『お茶、わたし淹れるよ？』

「良いの。仕事疲れたでしょ？俺の前ではオフ全開で良いからね？」

『…じゃあ。お願いしようかな』

「素直でよろしい」

ソファに深く座ったら睡魔が襲って来て。
疲れているのもあるけど、蓮くんの香りやお部屋のインテリア、ソファの座り心地は実はわたしを駄目人間にしちゃう要素だったり。
…落ち着く。
お茶を淹れてくれた蓮くんが横に座って、いつもの香りが鼻を掠めて何だかドキドキしてしまう。

「やっば！特上？ネタの輝きが違うね」

『うん、買って来た』

「…え？俺の分も？」

『うん。最悪ドアノブに引っ掛けておくつもりだった』

「…嬉しい、ありがとう」

お花みたいな蓮くんの笑顔が、寿司折の蓋を開けると少年みたいな笑顔に変わる。
このギャップ、女の子なら誰でもきっとときめいてしまうものだ。