19（side RM） ページ19
雑誌の撮影で使った花を見て、Aさんの笑顔をふと思い出した。
喜んで貰えるかな、時間も遅いから会えるか分かんないけど…最悪玄関のドアノブに引っ掛けておくのもサプライズっぽくて良いかもって思って貰って帰って来た。
『…綺麗！いいの？私がいただいてしまっても』
「Aさんにだから、渡したかったの」
一瞬目を見開いた後、花束なんかよりもずっと綺麗に笑うAさんに目が釘付けになる。
『…ありがとう、嬉しい。私ね、お花ってこうやって貰ったの初めてかも知れない』
「そうなの？」
『うん。…バースデーとかイベントで頂く事はあっても、プライベートでこうやって渡されたのは初めて』
「…初めて、ゲットしたわ。俺」
『あは。何それ。ありがとう、蓮くん』
「こちらこそ喜んでくれて嬉しい、あと時間くれてありがとう。疲れてるよね」
『…ううん、今疲れが飛んだよ』
そう言ったAさんの瞳に、涙が溜まっていることに気付いて。
花束が潰れてしまわないように、そっと抱き締めた。
『ごめん、わたし面倒くさいね…ごめん』
「面倒くさくなんてないし、謝らなくていいよ。何があったかも聞かないけど、今は俺がこうしたいから少しだけ」
『…蓮くん。いつもありがと…』
「Aさん、星見たら結構リフレッシュ出来るから今度空眺めてみて」
『…星』
「うん。今度一緒に見たい」
『…ありがとう』
「あ、やべ。10分経っちゃった…ごめん」
『こちらこそ。』
「おやすみ。時間くれて嬉しかった、リフレッシュ出来たし」
『…良かった』
「俺にとってAさんといる時間は息抜きでさ、必要になって来ちゃってる。感謝しかない」
『大袈裟だよ』
「いーや、ガチだから。じゃあお休み」
『…うん、お花すぐ生けるね。』
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作者名：白雪
| 作成日時：2023年3月19日 23時
