2（side TF） ページ2
『お隣、宜しいですか？』
「あ、うん。どうぞ」
…嘘だろ。
いや、待って。何で？！
「深澤、Aちゃんはこの店のナンバーだぞ。ラッキーだな」
…マジ？
隣に座ってるナベは付いた女の子と美容の話で盛り上がってる。
「あ、えーと。はい」
『…深澤』
「…久しぶり」
やっぱ、人違いじゃねーじゃん！
「何してんの、お前」
『仕事だけど。深澤は？』
「いや、俺も仕事っつーか。えーっと待って、」
『何か飲んで良い？』
「あ、どうぞ」
面影はあるけど、高校の時振りに会ったAは大人びていて同じ女の子とは思えない。
…付き合ってた時は、もっとこう何つーかピュアで男慣れしてなかった。
そんな彼女が自分色に染まっていくのが楽しくて、モテて仕方がなかった俺からしたら新鮮だった。
まあ…長続きはしなかったんだけど、結構引き摺ってた。
照にも話聞いて貰ったりしてたんだわ。
そんなピュアな筈のAが、グラスワインを傾けて俺のグラスに重ねた。
『いただきます』
「…おー。酒強いの？」
『強くは、ない。』
「あ、そうなんだ…」
「Aさん、お願いします」
乾杯して、何から話して良いのか分かんなくてパニックになってたらすぐに呼ばれるA。
「え、もう行くの？早くない？」
『テーブル被ってるから回らなきゃいけないの』
「…どうしたらもう少し話せるの？俺まだ一緒にいたいんだけど」
『…指名、して』
「あ、そういうことか。分かった」
俺の言葉を聞いたAが、黒服を呼んで何か指示してる。
でも結局、数分して席を立ったAが次にやって来たのは1時間後。
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作者名：白雪
| 作成日時：2023年3月19日 23時
