僕の彼女になってよ。 (ページ43)

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Aさんとの撮影、何かリアルな俺らの毎日を覗かれてるみたいでめちゃくちゃ照れくさかった。
でも、何か嬉しかった。
事務所がオファーを断らなかったのも、Aさん側がオファーを受けてくれたのも。
佐久間くんから雑誌を一冊預かって、Aさん家に向かう。

玄関で、雑誌をチラッと見せると目を真ん丸にしてる愛しい人。

『…さっくん？』

「ふは。察しがいいね、正解」

『また、買ってくれたんだ。嬉しい』

「ねえ、」

『…うん？』

「おかえりの…」

キスして欲しい、て言葉の前に背伸びしたAさんの唇が重なる。
…本当に、この人には敵わないかも。

「…何で分かったの」

『んー？ただ、私がしたくなっただけ、だよ』

「今日はさ、空気が澄んでるから星見えるかな」

部屋に進むAさんの手を引いて、ベランダに向かう。
カーテンを開けて、窓を開けたら一緒に夜空を見上げるけど星は見えない。

『…蓮、今日満月なんだよ。知ってた？』

「…本当だ、月デカいね」

『満月に何かお願い事する？』

「…これからも大切にするし、楽しませるからAさんが傍にいてくれますように」

『…蓮』

「Aさんはさ、ずっと俺に大切にされてね」

『私だって、蓮のこと大切にするよ』

「ふは。可愛い」

繋いだAさんの手が少し冷たくて。
もし何もかも全て失ってしまったとしても、この手は絶対に離したくないなって思って抱き締めた。

『…蓮、部屋入ろっか。お腹空いてる？』

「ねえ、Aさん」

『…うん？』

俺を見上げるAさんのシルエットが月に照らされて、凄く幻想的に見えて。
触れるだけのキスをして、唇が離れても見つめ合う時間が幸せでかけがえないって噛み締めた。

「月が綺麗ですね」

意味を悟って微笑んだAさんの小さな手が、頬に触れた。

『…月が綺麗だね』

…やっぱり、この人には一生敵わない。
ずっと、僕に大切にされてね。

…fin⭐︎