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映画の撮影も佳境に入った頃、音楽番組のオファーが入った。
…関ジャム。
音楽やってる人間は実はめちゃくちゃ観てる番組。
深く掘り下げてるから面白いし、他のクリエイターやアーティストの裏側が知れて勉強になる。
TVの仕事なんて殆どやって来なかったから緊張する。
撮影の時に玉ちゃんに話したら、関ジャニ兄さん優しいから大丈夫だよって励ましてくれた。
わたしが出演する回は「実力派女性ソロシンガーのテクニックに迫る！」と言う、何とも嬉し恥ずかしい特集。
いざ撮影が始まると、
司会の村上さんの軽快なトークでスムーズに進んでいく。
「たつくん、めっちゃさっきからニヤけてるやん」
「どないしたんや？」
村上さんと横山さんに促されて、大倉さんが口を開く。
「めっちゃ可愛い」
「たつくん、俺の話聞いてたん？！」
「可愛いー、白石さんめっちゃ可愛いない？」
大倉さんがとびきりのアイドルスマイルで笑顔を向けて下さるから、笑い返すしか出来なくて。
「可愛いー！」
「それしか言われへんのか！」
村上さんの鋭いツッコミで出演者は大爆笑。
流石だな…そして、玉ちゃんが言う通り関ジャニさんは皆さん優しい。
滞りなく撮影が終わった。
『ありがとうございました、お疲れ様でした』
出演者の皆さんにご挨拶をして楽屋に戻って、帰り支度をしていると。
コンコンコン
楽屋をノックした人物は、意外で。
「お疲れ様です、ちょっと良いですか？」
『…大倉さん。今日はありがとうございました』
「あー、ええねんええねん。あのさぁ、玉森と撮影してるやろ？」
『はい、お世話になってます』
「付き合ってたりする？」
『え？ないですないです』
「良かった！ほなさぁ」
さっきと同じアイドルスマイルで、iPhoneをひらひらさせた大倉さん。
「連絡先教えて」
断る理由もなく、追加される「大倉忠義」の連絡先。
またね、と足早に去ってしまった。
ぼんやり帰りの車で窓の外を見ていたら。
玉森裕太撮影大丈夫だった?
わ。タイムリー。
何かちょっと話したいと思ってた。
今帰り。無事終わったよ
玉森裕太 ちょっと会えない?
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作者名：白雪
| 作成日時：2023年1月28日 1時
