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「あ！雪だ！ねぇ、亮平！！雪が降ってるよ！」
Aが俺を呼んで、窓の外を指さす。
阿部「あ。」
Aが開けた窓から、冷たい風と一緒にヒラヒラと粉雪が入り込んでくる。
「ひゃ〜！寒いねぇ。」
阿部「ふふ。ほんとだね。ほら、風邪ひかないように窓締めてこっちで暖まろ？」
「へへ。でも私、雪ってすきだなあ。」
阿部「Aは昔からそう言ってたね。」
幼い頃は雪が積もると二人して外に出て、小さな雪だるまを二つ並べて作ったりしていたね。
阿部「……A、雪が溶けたら何になると思う？」
昔、君が俺に質問したことをふと、思い出す。
バカ正直に、水かな？なんて答えた俺のことも、質問した君自身のことも。
君はもう覚えていないかもしれない。
「雪が溶けたら？うーん。」
物理の先生からそんな風に言われるとなぁ〜なんて唸るAは、その仕草すら相変わらずかわいい。
彼女は少しだけ悩んで、一つ答えを決めたように俺に向き直る。
「春になるね！」
あの日とは違う顔で、あの日と同じような笑顔で君が出した答え。
「……って、なんで亮平そんな嬉しそうな顔してるの？？」
春みたいな暖かい優しさを持つ彼女が、不思議そうな顔をして俺の顔を覗き込む。
＿＿＿あの日の思い出を君が忘れていたっていい。
君の答えが、聞こえる場所に居られるのなら。
寒い冬も、君が隣にいれば暖かいから。
阿部「ふふ。秘密だよ。」
「えー？気になる！！けど、まあ、亮平が笑ってるからいっか！」
阿部「A、それよりも。寒いから手、繋ご？」
「ふふ。うん！」
Aの手を握りながら思う。
叶わない夢だと思っていた。
たくさん泣いて、何度も絶望して。
苦しくて、悲しくて、忘れてしまいたいと思ったこともある。
だけど、そうした時間があったからまた君にこうして会えた。
繋がれた手から、伝わればいいな。
俺は、君が隣に居ればしあわせだよって。
でも、やっぱり伝えたい事は思ってるだけじゃダメだから。
もう二度と、後悔しないように伝えておかなきゃね。
阿部「ねえ、A。」
「ん？」
阿部「大好きだよ。」
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雪が溶けたら、君を思い出す。
【完】
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たぬ(プロフ) - 朝桐さん» 最後まで読んで頂けただけでも嬉しいのに、宝石みたいにキラキラした素敵な感想をありがとうございます。頂いた言葉全てが宝物です。こちらこそ出逢ってくださりありがとうございました。 (3月21日 23時) (
レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
朝桐(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございました！涙なしでは見れなくて、とても生きててよかったと、見れてよかったと。運命といいますか奇跡にただ救われました。執筆活動お疲れ様です。今後のたぬ様の日々が愛に溢れますように。本当にありがとうございました！ (3月18日 22時) (レス) @page43 id: db8064d0f2 (このIDを非表示/違反報告)
たぬ(プロフ) - みみみさん» お読み頂き、素敵な感想までありがとうございます。楽しんで頂けたのなら本当にすごく嬉しいです！こちらこそ、ありがとうございました！ (9月6日 23時) (レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
みみみ - 今日初めて見つけたこの作品、１話から今まで全部いっきに読みました☆本当に素敵な作品でした😊ありがとうございました！！ (9月2日 17時) (レス) @page43 id: 10d256d720 (このIDを非表示/違反報告)
たぬ(プロフ) - 桜色さん» とっても優しくて愛のある感想を送ってくださってありがとうございます。どの言葉もとても勿体ないくらいですごく嬉しいです。最後まで読んで下さってこんな素敵な感想まで下さって、こちらこそありがとうございます！ (6月5日 22時) (レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たぬ | 作成日時：2022年8月24日 22時
