冬の匂いに包まれて【雪】 (ページ8)

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翌朝オフィスに行くといつもよりざわざわしてる空気を感じとる

誰かお偉いさんでも来る日だっけ

『おはよ。今日なんかあった？』

自分のデスクにカバンを置いて
同期のしおりの元に近寄って小声で聞く

しおり「あ、Aおはよ。目黒くん異動になるらしいよ」

『……え？目黒って目黒？』

しおり「Aなら知ってると思ったけど……」

『そ、うなんだ』

目黒が異動ってほんとに？

だって昨日いつも通り話してたじゃん
隣のデスクに座ってキャラメルくれたじゃん

なんで、何も言ってくれなかったの

目黒が異動になった事実はもちろん悲しいけれど
それを他の人から聞かされたことに多分一番傷ついてる

「Aさん、おはようございます」

『目黒……おはよ。ごめん私急ぎの案件あるから』

挨拶してきた本人はいたっていつも通り

そんな彼の顔をみるのが耐えられなくて
思わず冷たい言い方をしてしまった

隣からちらちら感じる視線に
居心地の悪さを感じながらもとにかく必死にキーボードを打つ

「Aさん、１個質問いいですか？」

『あー、それしおりの方が詳しいからしおりに聞いてくれる？』

「……はい。分かりました」

どう考えてもあからさまな私の態度に目黒も困った顔してる

教育係だったこともあり、
後輩の中でも目黒が一番なついてくれてると勝手に思ってた

普段一緒に仕事してる時もお互いが何考えているか手に取るように分かるから

なんていうか……信頼してるって感じてたのに

そう思ってたのは私だけだったのかな