冬の匂いに包まれて【雪】 (ページ14)

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ついに来てしまったクリスマス当日

お天気お姉さんが今年はホワイトクリスマスになるかもしれませんって、もこもこのマフラーしながら言ってたな。うん、寒そう

こんな日はお鍋が食べたいなぁってふと思いついて
今日は仕事帰りスーパーに寄って帰ろうと決める

『おはようございまーす』

しおり「Aおはよ～」

『わ、しおり可愛い！！新しいやつ？』

しおり「そう！この日のために買っちゃった！」

『じゃあ今日は定時でちゃんと帰らなきゃね？』

頑張る！！って意気込んでるしおりはやっぱり可愛い

そんなしおりがちょっとだけ羨ましくて
今日はコンビニでケーキも買おうと脳内買い物リストに追加した

「……はよ」

『お、はよ』

あれから渡辺とは気まずいまま

仕事の話をするけど
前みたいにからかってくることも
一緒に飲み行くこともなくなった

こうなるって分かっていたのに

課長「おい、この書類作ったの誰だ？」

時刻は16時半

定時まであと30分でみんながそわそわしだす中
課長の声が室内に響いた

同じ課の後輩の浦(うら)ちゃんが慌てて課長の元に向かう

後輩「すみません、私です……」

課長「こことここ。あとこれも」

『あの課長すみません。それ私も一緒に確認しながらやっていたので、私のミスです』

課長「浮かれてないでやることはやろうな」

『……はい。大変申し訳ございませんでした』

申し訳なさそうにまゆげを下げる後輩に
大丈夫だよって伝えるように小さく首を横に振る

後輩「あの、Aさん。本当にすみません」

『私こそ最終確認しないで任せちゃってごめんね？一緒に確認しよっか！』

後輩「っ！はい、ありがとうございます！」

夢中でやっていれば、みんながぞろぞろ帰りだして
あっという間に定時を迎えてることに気付いた

『浦ちゃんもういいよ？定時だし』

後輩「でも……」

『だって今日彼氏さんとデートでしょ？クリスマスだもん、行ってきな？』

後輩「私のミスなのにAさんに押し付けてなんて帰れません」

ちょっと泣きそうになりながら頑張ろうとする浦ちゃん

『ふふ、残念ながら？運よく？私今日なーんにも予定ないの！』

後輩「あの、渡辺さんとは？」

『え、渡辺？』

後輩「てっきり付き合ってるのかと」

『あー、全然。渡辺はただの同期だから！』

ほら！帰った帰った！って
浦ちゃんの背中を押して見送った