冬の匂いに包まれて【雪】 (ページ2)

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心地よい揺れに意識がついつい遠くなるのを頑張って目をこすって耐える

照から少しだけ離れて顔をあげれば
いつもの最寄りのコンビニが目に入った

ねぇねぇって照の肩を軽く叩いてから 
暗い夜道を照らす数メートル先の明るい光を指さす 

『照お腹すいてる？』

「さっきご飯食べたばっか」

『……お腹すいてる？』

「なんだよ(笑)なに食べたいの？」

『ふふ、肉まん食べたいなぁって』

「こんな時間に食べたらA肉まんになるよ？」

『ゔ……まぁそれも本望。我が生涯に一片の悔いなし』

「あはっ、意味わかんねぇ」

呆れながらも楽しそうに笑ってくれる照
後ろから顔は見えないけど、照が笑うたびに揺れる背中に心が温かくなる

さすがにコンビニの前まで背負ってもらうのは恥ずかしいのでその少し手前でおろしてもらった

ぴったり背中にくっついていたせいか
離れた瞬間身体をまとう空気がより冷たく感じてしまってなんだか寂しい

「寒い？大丈夫？」

『大丈夫』

「俺の上着きる？」

『ううん、ありがと』

寂しい、なんて言えなくて
それでも少しの変化に気付いて心配してくれる照に心が揺れる

“ただの幼馴染にそこまでしないでしょ”
今日の飲み会で友達から言われた言葉

友達が言いたい事も分かってるつもり
 だって、もし私の友達が私みたいなこと言っていたら絶対大丈夫だよって背中を押すもん  

でもいざ自分のことになると急に臆病になる

「肉まんだけでいいの？」

『自分で払うよこれぐらい』

「だってどーせ俺も食べるでしょ？」

照も肉まん食べたいの？って言ったら
お前絶対１個全部食べれねぇじゃんって。

うん、確かに
なんとなく小腹がすいて食べたい！ってなるけど
結局一口食べるとあれ？あんまりお腹すいてなかったな、って気付く

けど結局何度もおんなじことを繰り返して、
いつも照が最後食べてくれるんだ

「あ、じゃあ分ければいっか」

『え？』

「１個がいい？」

『あ、いや、ううん。半分こする』