ちいさな宝物。夏

終業式の醍醐味 ページ8

涼太:side



夏休みの予定を話し合った、数日後。
俺達高校生組、そして中学生組、小学生組の夏休みが明日から開始する。
だから、今日は終業式だけ。
なんだけど、校長先生の話が長すぎる笑。
この暑い中、全学年が集められた体育館は、窓や扉を開けていても熱がこもっている。
そろそろ熱中症になるぞってところで、ようやく校長先生の話が終わった。
司会を担当する先生も暑いのだろう、早口に最後の注意事項、締めの言葉を述べて、早急に終業式を終わらせた笑。
ようやく戻って来れた教室は冷房が効いていて、かいた汗が引いていく。
最後に担任の先生の締めの言葉を聞き、クラス委員長の号令で一学期が終了した。
さぁ帰ろう、と残っている少量の荷物を纏めていると、頭上から聞きなれた声が聞こえた。


「涼太、帰ろうぜ」

「翔太。…今度からは、計画的に持って帰ろっか。荷物」


俺の前に現れた片割れは、背中に背負ったパンパンのスクールバッグと、両手にはスクールバッグに収まらなかった荷物を抱えていた。
自分でも分かっているのだろう、ちょっと後悔してます…って言わんばかりの目で空を見つめてる笑。
そして小声でこんな事を…笑。


「あの、申し訳ないのですが…ちょっとだけ…荷物持ってもらうことって…」

「はぁ、もう笑。Aのお迎えもあるし、買い物もあるから、今回だけね笑。次からはちゃんと、事前に持って帰ろうな？」

「うす…。ありがと」


結局甘やかしちゃうのは、俺の悪いところかな？笑。
けど、どうしてもこの申し訳なさそうな、バブい顔に弱いんだよね笑。
そんな事を考えながら、翔太が抱えていた荷物を自分のスクールバッグに詰める。
ギリギリ、スクールバッグに収まる量だったんだけど、おかげで俺のバッグもパンパン笑。
俺も翔太と同じように、何時もは肩から下げるバッグを背負う。


「よし。うわ、結構時間経ってたね。早くお迎え行こっか」

「うわ、まじだ。何時に行くってしてたっけ？」

「遅くなるの見越して13時とは言ってあるけど…。遅れるって連絡、入れとくね。……これでよし」

「ん、さんきゅ。じゃあ、さっさと行こうぜ」


いざ帰ろうと壁に掛けられた時計を見ると、12時半を少し過ぎたところ。
学校から保育園までは、30分程掛かる。
これは確実にお迎え遅刻。
保育園に遅れる旨をメールで伝え、1本でも早い電車に乗る為に、2人で足早に学校を後にした。

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