ちいさな宝物。夏

ぎゅー！！！ ページ32

辰哉:side



「あ！ひーくんきた！」


真都の声が指す方へ視線を向けると、大荷物を抱えた照が此方へ向かってきていた。
チビたちは一目散に照に駆け寄り、今日の感想を口々に伝えている。


「お疲れ、照。荷物持つよ」

「ありがと。…折角、皆応援してくれたのに優勝できなくて、ごめん」

「なぁに、言ってんの。準優勝だって凄いじゃん」


そう言いながら、少し落ち込んでる照の頭を撫でる。
照たちのチームは、惜しくも準優勝だった。
それでも、優勝したチームとの点数は本当に僅差だった。
あとから聞いた話、優勝したチームは海外の大会に出場経験のある人達ばかりだったらしい。
そんな人達と僅差なんて、ほんとすごいんだから。
だからもっと堂々としなきゃ。
そんな思いから、まだ落ち込んで猫背気味になっている背中を力強く叩いてみた。


「っっ痛った！！！何？！」

「シャキッとしろ〜。ほら、ひーちゃんに抱っこして欲しくてずーっと見てる子がいるんですけど？」


結構痛かったみたいで、涙目で俺を睨んでくる照笑。
そんな照に、先程から送られる熱烈な視線。
その視線の先にいるのは、まぁ誰もが分かる子で笑。
大介に抱っこされている、Aの猛アピール笑。


「あ、やっと気付いたよぉ？Aの熱烈な視線に笑」

「あ！あ！」

「にゃはは笑。ほら、A？ちゃんと言わなきゃ、ひーちゃん分かんないよぉ？」

「んんん！ひちゃ！ぎゅー！！！」


すーっごい満面の笑みで、照に抱っこを要求するA笑。
照はというと…さっきまでしょぼくれた顔してたのに、今はもう破綻よ破綻笑。
でろでろに甘い顔してるの笑。


「んひひ笑。おいで、A。ぎゅーして笑」

「んひひひひ！ぎゅー！！！！！」


んんんんんっ。
可愛すぎんでしょ、この2人。
ニッコニコじゃん！かぁいいな、ほんと！
俺も混ざっちゃおっかなぁって考えてたら…。


「ぼくもぎゅーする！！」

「おれも！」

「俺もする！！いっちゃんも！」

「んぇえ？しょうがないなぁ笑」


あら、チビ達も同じ考えだったみたい笑。
そうなったらもう行くしかないっしょ！笑。
そう思って大介の方をみたら、まさかの大介も同じ考えみたいで…笑。
大介は隣にいた涼太を、俺は翔太の手を引っ張って強制連行笑。


「にゃは！突撃！！」

「わっ！」

「行っくぞぉ！」

「おわっ！」


全員でぎゅーってするの、めっちゃ幸せじゃね？笑

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