ちいさな宝物。夏

凄すぎだろ ページ31

涼太:side



全出場者のパフォーマンスが終わって、ザワザワと騒がしい会場。
表彰式の準備が整うまで、暫くお待ちください。とアナウンスが入ったのが、数分前。
俺たちなら、そういう時間はずっと喋ったりしてるんだけど…。
横を見れば、魂が抜けたかのようなマヌケな顔をする兄弟たち笑。


「え…。やばすぎだろ」

「何あれ…」

「あんなクオリティ高ぇの？今時の高校生って」

「…っすごかったねぇ！！ひーくんすっごいキラキラしてた！」

「すっげぇかっこよかった！！」

「なんなん！あんな照兄初めて見た！！」

「す……っご」


すごい時間差で、興奮状態の皆笑。
横に座ってる翔太がすっごい圧で、「凄すぎねぇ？なぁ、なあって」って肩叩いてくるんだけど笑。

皆の言ってる通り、本当に凄かった。
曲とダンスが完璧にマッチしてて、目が離せないくらいに。
しかも、全員がセンターになれるようなフォーメーションで、照がセンターの時、見入っちゃった笑。
それくらい真都が言ったようにキラキラしてて、輝いてた。


「ほんと、我が弟ながら凄すぎるよね」

「なにあいつ、あんなカッコイイところ初めて見たわ」

「今日は照の好きな物、いっぱい作ってあげよ」

「俺、焼き鳥食いたい」

「照の好きな物だってば笑」


各々、好きに喋ってたら会場にアナウンスが流れ、照明が暗くなった。
これから、表彰式が始まる。
さっきまでザワついていた会場も、一気に静まりかえる。
アナウンスで紹介されたダンス協会の理事の方が登壇し、話し始めた。


『えー、本日は大変素晴らしいパフォーマンスを見させて頂き、ありがとうございます。どの出場者も素晴らしく、甲乙つけ難いものばかりで、審査も難航致しました。それでは、発表致します。公平な審査の結果、栄えある第1位に輝いたのは_____』



















「よーし、忘れ物ないね？」

「うん。確認した、大丈夫」

「なら、外出るよ。迷子になんないようにね」


表彰式が終わり、会場の外へ出る。
外は夕方なのに、まだまだ蒸し暑い。
会場近くの木陰に荷物を下ろして、今日漸く家に帰ってくる照を皆で待つ。


「照、今からミーティングだからもうちょい掛かるって」

「チビたち先に車、乗せとく？」

「うーん、そうしたいけど…。絶対ここで待つって言いそう笑」

「確かに笑」


上2人がチビたちを見ながら、そんな会話をした数十分後。
真都の声が、響いた。

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