問題発生 ページ21
翔太:side
「なぁ〜、Aってばぁ〜」
「……」
「いつの間にか、無視を覚えたね…」
「いや、駄目だろ」
康二が何度も名前を呼ぶのに、無視を貫くA。
かれこれ30分は、リビングの出入口に設置しているベビーサークルドアの前に、玄関を見つめながら座り込んでいる。
こうなったのには理由があって。
事は、今日の朝に遡る。
「よし照、忘れもんないね？」
「…ん、大丈夫。全部あるよ」
「よし！んじゃ、行くか」
朝からバタバタと出掛ける準備をする、辰兄と大兄と照。
実は今日から、8月頭にあるダンスコンテストまで合宿をしに行く照。
約1週間行くらしくて、ちょっと寂しい。
だから皆で、お見送りの為に玄関に集まっている。
「早くかえってきてね…」
「ふはっ笑。良い子にな。帰ってきたら遊ぼう」
「うん！」
「頑張ってこいよ」
「大会、見に行くからね」
「ありがと、頑張るね」
皆各々照に声を掛ける中、照に向かって一生懸命手を伸ばすチビが1人。
「ひちゃ！ん！」
「ん？抱っこ？…っよ。頑張ってくるから、Aも良い子でな」
「くっく！」
「んぇ？なんで靴？」
「ごー！ごー！」
Aの言葉に、皆困惑気味。
その中で「もしかして…」と呟いた俺の横にいた亮平。
「皆で出掛けるって思ってない？A」
「え、まじ？」
「A？もしかしてお出掛けだと思ってる？」
「う？あ！」
「あちゃ…やっぱり理解出来ないよなぁ」
「まぁ、玄関に皆揃ってたらそう思っちゃうよな」
俺達の反応に、頭にはてなマークを浮かべているA。
まぁ、まだまだ赤ちゃんなこいつに話したとしても、理解出来るわけないよなぁ。
「A、ちょっとおいで？」
そう言って、照からAを受け取る辰兄。
玄関へと座らせ、Aの前にしゃがみ込む。
「A？今日はね、皆でお出掛けじゃないよ。ひーくんだけ。だから、ここでバイバイ」
「ばばい？」
「ん、そう。それでね、今日からこの日まで帰って来ないから、ぎゅう出来ないけどA頑張れる？」
携帯のカレンダーを見せ、帰ってくる日を教えながら話す辰兄。
正直、こんくらいの子ってこういう難しい話、理解するのは無理だと思う。
現に、Aもポカンとしてる。
辰兄も「難しいよなぁ」って、ちょっと困り顔。
「ねぇ、時間大丈夫？」
「え？やば！もう出なきゃ」
何も解決せずに、タイムオーバー。
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字の人(プロフ) - まり姉さん» ご指摘ありがとうございます！訂正致しました！ (12月27日 23時) (
レス) id: 0e5c101207 (このIDを非表示/違反報告)
まり姉(プロフ) - ぎゅーのところで最初のあだ名表記が(渾名)ってなってます (12月26日 14時) (レス) @page32 id: 632dd79117 (このIDを非表示/違反報告)
字の人(プロフ) - 糸山露子さん» とても嬉しいお言葉、ありがとうございます☺️兄組の恋愛事情とは、兄組が恋人を作って…という感じでしょうか？ (8月7日 12時) (レス) id: 4cf28724e5 (このIDを非表示/違反報告)
字の人(プロフ) - 友里花さん» コメントありがとうございます☺️今のところ、1歳の1年間で完結させようかな…と考えております。 (8月7日 12時) (レス) id: 4cf28724e5 (このIDを非表示/違反報告)
糸山露子(プロフ) - なんかこの兄弟可愛いやんしっかりお世話もしてるしでも兄組の恋愛事情も知りたいかな (8月2日 19時) (レス) id: b4b34b6799 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：字の人 | 作成日時：2023年7月27日 23時
