ちいさな宝物。春 (ページ21)

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担任ページ21

辰哉:side

改めて書いて欲しいという事で、貰った数枚の書類。
それを自分の荷物へと入れ、職員室を後にした。
Aくんを預けようと先生を探していると、驚いたような声が聞こえた。

「あら？あらら？もしかして…辰哉くん？」

声のする方へ視線を向けると、そこには俺が保育園児だった頃から兄弟全員がお世話になっている、超がつくほどのベテラン、美夜子先生がいた。

「美夜子先生！お久しぶりです」

「やっだぁ！少し見ないうちに男前になったわねぇ。他の皆は元気？今日はどうかしたの？」

相変わらずの弾丸トーク。
懐かしくて、思わず笑ってしまった。

「ふははっ、相変わらずですね笑。兄弟は全員、元気にしてます。で、実は___」

と、今日来た理由を簡単に説明した。
話終われば、予想通りの驚いた顔。

「そうだったの。またこれから大変ね…。困った事があればすぐ相談しておいで！」

「ありがとうございます笑」

「じゃあもしかして、私、雪村家コンプリートしちゃった？」

「コンプリート？」

「実は私、Aくんの担任してるのよ？」

「えっ、そうなんすか？！すげぇ笑」

まさかのAくんの担任が、美夜子先生。
もはや、奇跡に近い笑
そこから、保育園でのAくんの話を聞き、時間を見ればそろそろ出ないと学校に間に合わない時間。

「あ、そろそろ行かないと…」

「あら、ごめんね。引き止めちゃって」

「いえ。保育園でのAくんの事、聞けて良かったです。じゃあ改めて、また今日からよろしくお願いします！」

「ふふ笑。こちらこそ、責任を持ってお預かり致します」

そう話しながら、抱っこしたままだったAくんを、美夜子先生に預ける。
そろそろ行かないと、本当にやばい笑

「あぅ？」

「じゃ、Aくん。兄ちゃん行ってくるな。お迎えは、翔太と涼太が来てくれるから。いい子で待っててな？」

「…あぅあ…んぶぅううう！」

「え？！なぁに怒ってんのよ、Aくん笑」

「あらあら笑。きっと、離れたくないのね。お兄ちゃん大好きだもんねぇ」

「ふぇっ…」

「ごめんって笑。ほら！いっぱい遊んでおいで！じゃ、お願いします！」

「はーい、行ってらっしゃい！」

泣いてるのを構えば離れなくなっちゃうから、申し訳ないと思いながら足早に保育園を後にし、駅に向かう。
保育園へ説明した事と、さっきのAくんが可愛すぎた事をメッセージアプリで報告すると、ヤジが飛んで来た事はまた別の話笑。