まんま ページ17
涼太:side
寝る前に、母さんから朝の5時頃家を出ると聞いていたから、それに合わせて起きて、お腹がすいた時にすぐ食べれるように、おにぎりを握って手渡した。
もう家を出るって時に、まさかの辰哉兄さんとAくんが起きてきて、一緒に母さんを見送った。
「んぁぁああ。眠い……」
「くすくす笑。もしかして、Aくんに起こされたの？」
「その通りです…笑」
眠そうに伸びをする辰哉兄さんの横で、兄さんが好きな黄色いバナナの妖精のぬいぐるみを抱くAくん。
可愛いなぁ、なんて思いながら2人を眺めていると、「あ、そうだ」ってこっちに振り向いた辰哉兄さん。
「何、どうしたの？」
「すっごい急なんだけどさ。Aくん、今日から保育園連れていこうかと思って」
「保育園？どこか通ってるの？」
「うん、俺らが通ってたところ」
「あ、そうなの？偶然だね」
「そう。んで、朝は俺が連れてって保育園に事情話しとくから、お迎え頼んで良い？」
「分かった、翔太とお迎え行くね。そうと分かれば、朝ご飯ちょっと豪華にしようかな？」
「ふははっ、何でだよ笑」
「そりゃ、今日から頑張ろうって事でね？」
「なんだそれ笑」
「あだ！ぶ！あぅ！」
「んー？何言ってんのぉ？笑。もしかして、ご飯に反応した？」
「あぅ？」
ご飯って言葉に反応したのか、少しテンションの上がったAくん。
そんなAくんを連れて、洗面所へと向かった辰哉兄さんを見送って、朝ご飯に取り掛かる。
辰哉兄さん、今日は一限からって言ってたけど、保育園に話に行くと言っていたから、何時もより早く出るだろう。
ちょっと急ぎめに、でも少し豪勢な朝ご飯を作っていく。
「兄さん！朝ご飯、出来たよ」
「ん？早いね」
「うん。兄さん、早く出ると思ってちょっと頑張った」
「……。俺の弟まじで、最高だわ。涼太ありがとうな」
お礼を言いながら、俺の頭を撫でてくる辰哉兄さん。
俺もう高校生だけど、実はこうしてもらえるのが嬉しかったりする。
恥ずかしいから言わないけど笑。
「ほい、Aくーん。涼太兄ちゃんがご飯作ってくれたぞ〜」
「あー！むぅだ！」
「うんうん、食べようなぁ。はい、おててパッチンいただきます」
「あ！」
ルンルンと嬉しそうにご飯を見つめるAくん。
可愛すぎる…。
ご飯を食べる2人をひと通り眺め、俺はまだ起きてこない兄弟達の朝ご飯作りを再開した。
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作者名：字の人 | 作成日時：2023年5月31日 0時
