月ヘト願フ【赤髪の白雪姫】 (ページ21)

今日:9 hit、昨日:6 hit、合計:28,854 hit

噂の人２ページ21

オビと少し話した後、再び城内を歩く

それにしても噂広まるのが早いな

まだ一日しか経ってないのに･･･

「止まれ、娘！･･･お前が噂の人間か」

そんなことを考えていると、後ろから声をかけられ振り返る

目の前にはハルカさんが立っていた

･･･嫌な予感がする；

「殿下がお呼びだ。おとなしくついて来てもらおう」

『は、はぁ･･･；』

ハルカさんが言う“殿下”で思い浮かぶのは一人しかいない

ゼンの兄、イザナ･･･

シンside

仕事が片付き、休憩を取っていると見覚えのある姿が廊下を通った

せっかくだ、少し話でもしよう

そう思った僕は彼の側に行き、背中に向かって声をかける

「オビ君、ちょっと話いい？」

振り返った彼の表情は何とも嫌な顔をしていた

オビはいつもこうだ

神の力でどうにかしようとしてもできない

不思議なものだ･･･

「で、何。話って」

早く済ませたいのかさっさと答えろとでも言いたげな目でこちらを睨みつける

僕が彼に話したいことと言えば一つだ

「Aの過去を聞くのは止めてもらいたいんだ」

目を丸くするオビにニコリと作り笑顔を向けると、再び睨みつけられた

睨みつけたいのは僕の方だ、とか思いながら話を進める

「彼女にもいろいろあるからね。君はAのことを知らなくていい。知る必要などないんだよ」

彼女を悲しませるのだけはやめてくれ、そんな気持ちを込めて僕は言葉にした