月ヘト願フ【赤髪の白雪姫】 (ページ16)

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聞かれたくないことページ16

あの後、オビの部屋で世間話をしていた

クラリネスのことについて、ゼンについて、白雪について･･･

とてもいい感じの雰囲気だった

けど、それはあっという間に終わってしまうもので･･･

「A嬢の前居た国ってどういうとこ？やっぱりここと似た感じ？」

それだけは･･･聞かれたくなかった

思い出すのは真っ暗な部屋の柱にぶら下がった“何か”―――

私はそれを引き起こした犯人だ･･･

例え、自分の手が汚れてなくても･･･この重みを一生背負わなければならない

「A嬢？大丈夫かい？」

オビに声をかけられ我に返る

ダメだ、このままだと一カ月で自分を変えることなどできない

笑みを浮かべ、オビの質問に答えた

『うん、大丈夫。私の国はね、緑豊かでみんな優しくて･･･』

人と深く関わっていないくせによくこんな事が言える

心の中で自分を罵倒しながらも話を続けた

『私はあの国が大好きだよ』

嘘ばっか･･･

心の中に広がる黒い何か

嘘による罪悪感か、それとも自己嫌悪によるものか、どちらかなのかは分かる

そんな心と言葉は対照的で･･･自分について話す度、心で自分を忌み嫌うのだ

「A嬢･･･その国が好きなら、何でそんな悲しそうな顔するの」

予想外のオビの言葉に驚愕する

悲しそうな顔って･･･思ってることが顔に出てたのか？

慌てて私は否定する

そんなことないよって･･･

けど、オビは気付いてしまっていた

私には何かがあるのだと･･･

この時、オビが気づかないでいてくれれば――――

苦しまずに済んだかもしれない･･･