snowbreak (ページ3)

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家に帰るとそれはそれで心が締め付けられる。

君はあの人と過ごしているのだろう。分かっていても、何度目だろうと、苦しくなる。

「結局、きらいにもなれない臆病者なんだな、俺って」

小さく呟いてポケットのライターを取り出し、君が好んで使うアロマキャンドルに火をつける。

ソファーに腰かけ少し意識して呼吸をすればほのかに香る優しい匂いに君のぬくもりを見つけることが出来る。そのまま目を閉じるけど、開いてしまえば君の姿はなく、小さく揺れる灯が切ない心を揺さぶりながらぼんやりと部屋を照らした。

しばらくじっと見つめていた灯から目を離すとどこからか小さく鐘の音が聞こえてくる。

思うままにつぶやいた君に伝えたい言葉は行き場を失って部屋の隅に小さくきえた。

僕たちの三度目の冬は終わろうとしている。

窓に近づいて街を見るけど降り積もる雪をみて無意識に吐いたため息が窓を曇らせると、それもまた情けなくなって冷たい床に座り込んだ。

多分少しだけ離れた街に君はいるのだろう。
だけど僕にはその距離がもどかしくて、どうしようもない世界の境界線のようで。
僕も君の居る街という世界で暮らしたいと強く、思うんだ。

今日が終わったら君に連絡しよう。

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